琉球大と関西大が、大阪・関西万博のサウジアラビア館に展示されていた人工サンゴを引き継ぎ、海洋保全の研究を進めている。沖縄県や鹿児島県の近海に移植し研究に活用。万博を通じて技術をつなぎ、サンゴ礁や生態系の再生に挑む。

 サウジの人工サンゴは、天然サンゴの主成分と同じ炭酸カルシウムを使用。コンクリート製や金属製の物に比べ、付着した天然サンゴが成長しやすいとされる。骨格の構造は3Dプリンターで精密に再現。万博会期中は1日1個ずつ制作し、同国館の「持続可能な海」がテーマのエリアで壁一面に展示した。

 このうち約150個を譲り受けた琉球大は、沖縄本島東側の海域に置き、生態系への影響を調べる。ライマー・ジェイムズ・デイビス教授(海洋生物学)は「沖縄では多くが死滅した。人工サンゴが生物の新たなすみかとなる可能性を探りたい」と語る。

 関西大は人工骨格に、「ポリプ」と呼ばれる天然サンゴの軟組織を移植して成長過程を調べるため、鹿児島・与論島の海に設置。大学の水槽内でも観察している。