兵庫県議会百条委員会が開かれる会合場所=兵庫県庁
兵庫県議会百条委員会が開かれる会合場所=兵庫県庁

 斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題を巡り、昨年の知事選期間中、日本維新の会の県議が政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に、県議会調査特別委員会(百条委員会)の非公開情報などを提供した問題で、県組織「兵庫維新の会」は26日、百条委元副委員長の岸口実県議(60)を除名に、元委員増山誠県議(46)を離党勧告とする処分を発表した。

 維新の党紀規則では除名が最も重く、離党勧告はその次に重い処分となる。報道陣に対応を問われた岸口、増山の両氏は議員辞職を否定し、無所属で活動する意向を示した。

 処分理由などによると、岸口氏は県知事選告示日の翌日の昨年11月1日、立花氏に他者への誹謗(ひぼう)中傷を含む文書を無断で提供。百条委副委員長の立場で真偽不明の情報を流出させた。当時は知事選に立候補した清水貴之氏の陣営幹部でもあり、他の候補者へ情報を提供したことは「組織のガバナンス(組織統治)を揺るがし、党の信頼を失墜させる行為」と指弾した。

 文書は斎藤知事を失職させた「黒幕」として、今年1月に亡くなった竹内英明前県議らを名指ししていた。日本維新などの調査では、岸口氏は立花氏と面会した意図を明確に述べず、「私から渡ったことは否定できない」と説明した。

 一方、増山氏は昨年10月25日、百条委が知事選への影響を考慮して非公開で行った証人尋問を録音。告示日の同月31日、音声データを立花氏に提供した。兵庫維新は「百条委委員の立場で県議会規則に抵触し、議会人として法令順守意識が欠如していた」と断じた。

 音声には片山安孝元副知事が告発文書を作成した元県民局長のプライバシー情報を話したため、片山氏の発言が制止されるやりとりが含まれていた。

 神戸市内で会見し、処分内容を発表した兵庫維新代表の金子道仁参院議員は「非常に難しい判断だったが、事案の重大性や社会的な責任の大きさを考慮し、客観的で公正、かつ厳正な処分として結論に至った」と説明。処分内容の差は「どちらが重大な責任を負う立場かなど、影響力や監督責任を勘案した」と述べた。(金 旻革)