「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げる大阪・関西万博が13日、大阪市此花区の人工島・夢洲で開幕した。158カ国・地域が参加して最先端技術や独自文化を駆使したパビリオンを並べ、国内外から誘客を見込む。13日は午前9時にゲートが開き、来場者が次々と足を踏み入れた。
開場前には東ゲート前でテープカット式典を実施。日本国際博覧会協会(万博協会)の十倉雅和会長や、博覧会国際事務局(BIE)のケルケンツェス事務局長、大阪府の吉村洋文知事らが出席し、184日間に及ぶ祭典のスタートを祝った。
史上初めて四方を海に囲まれた会場で行われる。シンボルとなる大屋根リングは高さ最大20メートル、1周2キロの巨大さで、「世界最大の木造建築物」としてギネス世界記録に認定された。
兵庫県関係のパビリオンも大屋根リング外側を中心に立ち並び、関西パビリオン内の兵庫県ゾーンは、シアター型展示「HYOGO(ひょうご)ミライバス」が目玉。民間では、パビリオン「未来の都市」に神戸製鋼所(神戸市中央区)や川崎重工業(同)などが共同出展する。パソナグループ(東京)は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた心臓のミニチュアモデル「iPS心臓」などを展示するパビリオン「パソナネイチャーバース」を設けた。万博終了後に淡路島に移設される。
万博会場では会期中、県内市町が魅力をPRする期間限定の展示やイベントも続々と登場する。県内では、尼崎市臨海部に設けられる万博シャトルバス発着点の駐車場の隣で、ナイトマーケットを楽しむ「ひょうご楽市楽座」が土日に開催される。
大阪で開催する万博は1970年以来55年ぶり。大規模な万博の国内開催は2005年の愛知万博以来20年ぶりとなる。全国的な盛り上がりが不足しているとの声もあり、開幕を経て機運が高まるかどうかも注目される。(岩崎昂志)
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大阪メトロ中央線の夢洲駅と直結する東ゲート前では、長い列をつくった大勢の入場客が開場の瞬間を迎えた。
始発で訪れた西宮市のパートの女性(66)は、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」の飛行がお目当て。「大屋根リングを入れて写真を撮り、開幕の雰囲気を味わいたい。ほぼ地元の大阪である世界的イベントは、やっぱりワクワクします」と声を弾ませた。
ゲートの先頭近くに並んだ千葉県浦安市の会社役員の女性(51)は娘とおいの計4人で来場。「これだけの一大行事は、どうしても初日に行きたかった。先端技術と外国の文化に触れてきます」。宇宙開発などをテーマにした米国館を楽しむことにしているという。(田中宏樹)