神戸新聞NEXT
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 20日に投開票された参院選の期間中、インターネット上などで取りざたされた「外国人が増えると治安が悪化する」との言説について、神戸新聞社が警察庁に見解を求めたところ、24日に回答があった。警察庁は犯罪の情勢について「一般に、特定の要因の影響を単純に論ずることは困難」とした。

 質問は7月10日付で警察庁にメールで送り、「①外国人の増加と治安の関係に関する警察庁の分析」「②言説の妥当性についての評価」「③言説が真実でない場合のコメント」-の三つを尋ねた。

 警察庁は、三つの質問にまとめて答える形で「犯罪の態様や件数にはさまざまな要因が複雑に影響を与えているものと考えられ、一般に、特定の要因の影響を単純に論ずることは困難であると認識しております」と記した。

 言説について神戸新聞は選挙期間中にファクトチェックを実施。犯罪の統計上、外国人の増加と犯罪件数の増加に相関はなく、「誤り」と判定した。

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 また、神戸新聞のファクトチェックに対して交流サイト(SNS)上では、摘発された外国人が司法手続きで優遇されていることを示唆する文脈で「外国人は不起訴になりやすい」とのコメントが見られた。

 しかし、国の2024年版犯罪白書によれば、刑法犯で摘発された来日外国人の起訴率は日本人を含めた全体よりも4・2ポイント高く、外国人だから不起訴になりやすいという言説は統計上「誤り」となる。特別法犯で見ると3・5ポイント低いが、強制送還などの処分を伴う入管難民法違反が押し下げの要因となっており、同法違反を除けば起訴率は全体とほぼ同じとなる。

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 外国人が増えれば治安が悪くなるという言説については、移民・差別研究の専門家も否定している。

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