滑走路で胴体着陸した機体=2024年5月31日、神戸市中央区、神戸空港
滑走路で胴体着陸した機体=2024年5月31日、神戸市中央区、神戸空港

 パイロットらを養成する学校法人ヒラタ学園(堺市)の小型プロペラ機が昨年5月、神戸空港の滑走路に胴体着陸した事故で、運輸安全委員会は28日、調査報告書を公表した。離着陸を繰り返す「連続離着陸」の訓練で着陸する際に着陸装置を下げていなかった、と指摘している。

 事故は昨年5月31日午後2時半ごろ発生。けが人はいなかったが、滑走路が閉鎖され、多数の便が欠航した。教官役の60代の男性機長と当時20代の男性訓練生2人が搭乗していた。

 報告書によると、操縦していた訓練生は同型式機を使った3回目の訓練だった。当日は、着陸に向けて、着陸装置を下ろした状態で飛行する予定だったが、実際には着陸装置を上げて飛行したという。

 機長は、訓練生が取り組み中の操作を終えてから着陸装置を下げる助言をしようとしていたが、失念したという。着陸装置が下りていなかったため、胴体着陸となり、機体を損傷した。

 報告書は、操縦していた訓練生と機長がともに着陸に関するチェックリストを確認しなかったため、着陸装置が下りていないことに気づかなかった、とした。

 再発防止策として、チェックリストの運用について実施時期、内容を検討することを挙げた。(末永陽子)