神戸地裁=神戸市中央区橘通2
神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 宝塚市の民家で2020年6月、母と弟ら4人をクロスボウ(洋弓銃)で殺傷したとして、殺人と殺人未遂の罪に問われた無職野津英滉被告(28)の裁判員裁判の第3回公判が2日、神戸地裁であり、前回に続いて被告人質問が行われた。裁判員から家族3人を殺害したことに罪の意識はあるかと問われ、「全くないです」と答えた。

 9月30日の公判で弁護人から行われた質問に続き、この日は検察官と裁判員、裁判官が順に質問した。

 被告は前回期日で、家族から受けた苦しみを知人らに理解してもらうため、自殺ではなく家族を殺し、死刑になろうとしたと動機を語っていた。この日、目的を達成できたかどうか問われると「伝わったかどうかはどちらにせよ、もはやどうでも良い」と述べた。

 若い弟の将来を奪ったことを検察官に尋ねられると、「あるようでなかったような将来。今の質問は余計なお世話です」と回答。どんな母親であってほしかったかと聞いた裁判官にも「質問の内容がめんどくさすぎる」と応じなかった。

 クロスボウを凶器に選んだ理由として、当時は所持することの許可が不要だったからだと説明。ナイフに比べて「引き金を引くだけ」なため、心理的な抵抗感が弱かったことも挙げた。