政務活動費の不適切使用で辞職願を出した松井重樹氏。会見で釈明した=9月23日、神戸市中央区
政務活動費の不適切使用で辞職願を出した松井重樹氏。会見で釈明した=9月23日、神戸市中央区

 兵庫県議会の自民党議員団は8日、政務活動費(政活費)の不適切処理問題で辞職した松井重樹元県議(71)から、2020~24年度の政活費計約186万円の返金を7日までに受けたと発表した。県職員との打ち合わせなどの目的で支出した127泊分のホテル宿泊費と交通費の合計で、松井氏が「事実を確認できないものが含まれており、(全額を)返還したい」と申し出た金額としている。(井上太郎)

 自民党議員団は県に返還手続きをするとともに、虚偽申請の調査を進める。

 松井氏は20~24年度の5年間、午前8~9時台に県職員から「レクチャー」があるとの名目で繰り返し神戸市中央区のホテルに前泊したと申請。だが、実際には職員と面会していないケースがあり「全てを証明できない」として9月24日付で辞職した。虚偽申請の件数は明らかにしていない。

 年度別の返還件数は、20年度分9泊▽21年度分22泊▽22年度分25泊▽23年度分27泊▽24年度分44泊-だった。谷口俊介幹事長によると、年々増えた理由を松井氏に尋ねたが明確な答えはなかったという。自民党議員団は刑事告発も視野に、実名を記載された職員へのヒアリングなどで事実関係を調べている。

 松井氏はたつの市・揖保郡選出で、本会議などの公務で前泊した場合に宿泊費などを県が弁償する対象だった。県議会は政務活動費にも準用しており、元職を含む他の対象議員12人にも不適切な前泊がないか過去2年分を調査している。

 うち11人が自民会派で、谷口幹事長は8日、報道陣の取材に「今後どう透明性を保っていくか。前泊のルールがより厳格になるよう話し合いたい」と述べた。