神戸地裁=神戸市中央区橘通2
神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 神戸市西区で2023年6月、近くに住む穂坂修ちゃん=当時(6)=が遺体で見つかった事件で、修ちゃんへの傷害致死などの罪に問われた母親の沙喜被告(37)ら3姉妹の裁判員裁判の第6回公判が1日、神戸地裁であり、前回に続いて沙喜被告への被告人質問が行われた。暴力によって叔父の大地被告(34)に精神的に支配されていたとし、「もっと勇気を出して(息子を)かばっていたら、こんなことになっていなかった」と後悔を述べた。

 事件当日の朝、修ちゃんは40度近い高熱があり、朝食のパンも飲み込めなかった。その後失禁したことに大地被告が怒り、うつぶせにして沙喜被告に鉄パイプでたたくよう指示。叔母の朝美被告(33)、朝華被告(33)に手と足を押さえるよう命じたという。

 沙喜被告は修ちゃんのそばの椅子などをたたいてごまかし、強く指示されて背中をたたいたものの、力加減をしたと証言した。

 その後、大地被告が修ちゃんを移動させ、背中の上で跳びはねるなどしたとされる。沙喜被告は直接見ていないとしたが、修ちゃんの「うっ」とうなる声が聞こえ、後ろに上がった足がゆっくりと落ちたのが見えた後、反応がなくなったと回想。検察側から通報しなかった理由を問われ「できないくらい精神が破壊されていた」と語った。

 また、1カ月半前の5月1日には、自宅2階の窓から「おなかすいた」「怖いよ」と泣く修ちゃんを通園先の保育士が見つけ、副園長らが訪問。主に大地被告が対応した際の状況について沙喜被告は「助けを言うか迷ったけど、大地の目線が怖くて、言うと殺されると思った」と話した。

 起訴状によると、修ちゃんは背中を多数回にわたって鉄パイプで殴られたり、踏まれたりし、外傷性ショックで死亡したとされる。