豊岡市但東町中山の「日本・モンゴル民族博物館」を訪ねた。ここの最大の魅力は、体験型の施設だということ。モンゴルの歴史や宗教、そこに暮らす人々、遊牧民の生活を楽しみながら知ることができる。
館内には、本物の移動式住居「ゲル」が常設展示されている。木組みでしっかりした骨格、屋根や壁部分は羊の毛で作られたフェルトで覆われている。中は天井も高く、広い。ベッドが二つ。調度品はどれも可愛(かわい)らしい。中央にストーブを兼ねた炉、その日使う水を貯める小さなタンク付きの水場もある。限りある資源を大切に、自然と共に生きる知恵。「人間は支配者ではない」という遊牧民の考え方を今こそ心に刻みたい。
そして今回、私がいちばん心惹(ひ)かれた「馬頭琴」を紹介しよう。弦が2本しかないモンゴルの擦弦(さつげん)楽器で、弦と弓は馬の毛を束ねて作られている。棹の先端に馬の彫刻を施してあるので馬頭琴なのだが、ここではこれを実際に弾くことができる。
楽器を脚の間に挟んで弓をあててみると割と簡単に音が出るから楽しい。子どものように夢中になってしまった。
書物ではなく、歌で伝承されてきた遊牧民の歴史や文化。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録された馬頭琴の音色を、生で体感してみてほしい。
職員さんの手が空いていれば当日でも対応してくれるが、事前に予約したほうが確実だ。
問い合わせは、日本・モンゴル民族博物館TEL0796・56・1000