「湯が上がってこない」。2024年元日の能登半島地震で被災した石川県七尾市の和倉温泉に、緊張が走った。
同温泉では源泉から、まちの中心部にある温浴施設の「総湯」と各旅館に湯を送る。調査の結果、源泉は無事で、湯をくみ上げるシステムが故障していた。1月中旬に修理を終え、揺れで損傷した配管も順次復旧させた。断水が解消した3月末に総湯への配湯を再開し、5月上旬には各旅館に配湯できる体制を整えた。同温泉観光協会事務局課長、平野正樹(48)は「東日本震災後に東北の温泉で湯質が変わったと聞いたことがあり怖かった。湯は地域の命ですから」と振り返る。