国際会議でスピーチする近藤紘子さん=26日、ローマ(共同)
 国際会議でスピーチする近藤紘子さん=26日、ローマ(共同)

 【ローマ共同】広島市で被爆した近藤紘子さん(80)=同市=が26日、イタリアのローマで、平和などをテーマにした国際会議の開幕式に登壇し、核兵器のない世界の実現を訴えた。式典には、1966年の静岡県一家4人殺害事件で再審無罪が確定した袴田巌さん(89)の姉ひで子さん(92)も参加した。

 近藤さんは生後8カ月の時、爆心地から1・1キロ離れた場所で被爆。崩壊した建物の下敷きになったが、奇跡的に生き残った。顔にやけどなどを負った原爆孤児らとの交流を通じ、原爆を落とした米国への憎悪が募ったと説明。その後、原爆を投下したB29爆撃機の元搭乗員が涙を流し後悔する姿を見て「憎むべきは人ではなく戦争だと気づいた」と話した。

 開幕式には、イタリアのマッタレッラ大統領らが参加。近藤さんが約5分のスピーチを終えると、一斉に大きな拍手が起き、立ち上がる人もいた。近藤さんは式典後、会場でひで子さんと面会。近藤さんが再審無罪に「本当によく頑張ったわね。すごいわよ」と伝えた。