研修会で、町から緊急銃猟の委託を受け証票となる腕章を着けて発砲までの工程を確認するハンター=8月、北海道下川町
 研修会で、町から緊急銃猟の委託を受け証票となる腕章を着けて発砲までの工程を確認するハンター=8月、北海道下川町

 市街地に出没したクマを自治体判断で駆除する「緊急銃猟」について、北海道の179市町村を対象にした共同通信の調査で「態勢が整っている」としたのが9自治体で、回答した自治体の5・4%にとどまることが21日、分かった。環境省のガイドライン公表から2カ月足らずでの制度開始に、自治体の態勢が追いついていない現状が明らかになった。

 ハンターが発砲に伴う刑事、行政責任を問われるとの懸念を踏まえ、北海道猟友会は現場のハンターが自治体の発砲要請に応じないことを容認。141自治体はこうした場合の対応が「決まっていない」と答えた。「決まっている」とした22自治体でもクマを追い払うなどの対応で、緊急銃猟は実施できないという内容が大部分を占め、猟友会頼みの制度の実態が浮かんだ。

 調査は9月上旬に実施し、166自治体が回答した。154自治体は「態勢が整っていない」とした。理由(複数回答)を尋ねると、警察や猟友会など関係機関との協議やマニュアル作成が終わっていないとの回答が70件以上に上った。