甲府家裁(手前)と長崎家裁がホームページに掲載した、特別保存に付する認定を行った事件の一覧
 甲府家裁(手前)と長崎家裁がホームページに掲載した、特別保存に付する認定を行った事件の一覧

 1997年の神戸連続児童殺傷事件など重大少年事件の記録が廃棄されていた問題を受け、最高裁が記録保存の制度運用を見直した昨年1月30日から同年末までの11カ月間に、全国の裁判所で3115件の記録が事実上の永久保存に当たる「特別保存」に認定されたことが12日までに最高裁への取材で分かった。運用見直し前の件数(2188件)を千件近く上回り、最高裁が「国民共有の財産」と位置付けた裁判記録の保存が進んだ。

 3115件のうち、少年事件は86件、少年の成育歴や生活環境などをまとめた調査記録は98件含まれていた。少年事件関連の記録は原則非公開だが、廃棄されれば将来、研究や検証に活用される可能性もついえることになるため、保存される意義は大きい。

 ただ各裁判所は特別保存とした記録の事件番号や判決日などしか公表しておらず、具体的にどの事件に関する記録なのかは特定が難しい。情報公開の在り方は議論の余地がありそうだ。膨大な紙の資料を保管する場所の確保も今後の課題となる。