村山富市元首相の地元・大分では17日、突然の訃報に「残念」「地域の誇り」と別れを惜しむ声が広がった。温厚な人柄で知られ、近隣住民に気さくにあいさつする様子から「トンちゃん」の愛称で親しまれた。自宅前には弔問客に交じって住民らも訪れ、静かに手を合わせていた。
村山さんの亡きがらが遺族とともに病院から自宅に戻ったのは午後3時ごろだった。長年、世話役を務めた男性(67)は最期の瞬間に駆け付けた。1カ月ほど前から入院していたが、午前10時ごろに容体が急変し、眠るように息を引き取ったという。男性は「長い間ご苦労さまでした」と声を振り絞った。
近くに住む多嶋田道代さん(82)は1994年の首相就任時を思い出し「道路が人でいっぱいになり、拍手や万歳が起きた」。地元は歓喜に沸いたと振り返り「首相になっても変わらず、にこやかに話しかけてくれた。優しい方だった」と話した。
安部和成さん(63)は、今年の春ごろまで家族と散歩する村山さんをよく見かけたという。「地域のために尽力された。残念だ」と悼んだ。