衆院本会議で就任後初めての所信表明演説をする高市首相=24日午後
 衆院本会議で就任後初めての所信表明演説をする高市首相=24日午後

 高市早苗首相は24日の所信表明演説で、上野賢一郎厚生労働相に指示した「労働時間規制の緩和検討」について言及しなかった。「働き方改革に逆行する」と反発の声が出ており、具体的な説明がなかったことに、識者は「強い懸念が示されたことで慎重になったのではないか」とみている。

 首相は上野氏に「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討」を指示。上野氏は就任記者会見で「誰もが働きやすい労働環境を実現していく必要性や(現行の)上限規制は過労死認定ラインであることを踏まえて検討する必要がある」と述べ、働き方改革関連法を巡る労働政策審議会で議論を進める考えを示した。

 ところが24日の所信表明演説では、経済政策や物価高対策への言及はあったものの「労働時間規制の緩和検討」に直接触れた部分はなかった。

 首相の指示を巡っては、連合の芳野友子会長が「これまでの長時間労働是正の取り組みに逆行するもので、看過できない」と批判。労働問題に取り組む弁護士や過労死遺族からも反対の声が上がった。