栃木県小山市で2022年と23年、出産したばかりの女児と男児を殺害し、遺棄したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた住所不定、無職伊藤七美子被告(38)の裁判員裁判が11日、宇都宮地裁(児島光夫裁判長)であり、検察側は懲役15年を求刑した。弁護側は保護責任者遺棄致死罪に当たると主張。執行猶予付き判決を求め、結審した。判決は26年1月15日。

 検察側は論告で、無計画に妊娠し、交際関係を優先するために2人を殺害したと指摘。「人命軽視が顕著で身勝手だ」と非難した。

 被告は初公判で男児殺害は認め、女児殺害は否認していた。弁護側は最終弁論で、男児への殺人罪も成立しないと主張。女児は自然死で、2人に関する自白は虚偽だったとし「軽度の知的障害や産後の疲労から、救急車を呼べなかった。心神耗弱状態だった」と訴えた。

 被告は最終意見陳述で「これからは人を頼れるようになりたい。罪を一生かけて償い続けると約束する」と述べた。