石炭でサンマを焼く催しを企画した江尻浩二郎さん(左端)と住民の志賀喜美子さん(左から2人目)ら参加者=8日午前、福島県いわき市
 石炭でサンマを焼く催しを企画した江尻浩二郎さん(左端)と住民の志賀喜美子さん(左から2人目)ら参加者=8日午前、福島県いわき市

 半世紀前まで本州最大の炭田「常磐炭田」があった福島県いわき市で8日、実際の採炭時に出たくず石炭「ボタ」を使い、昔ながらの調理方法で秋の味覚サンマを焼いて食べる催しがあった。かつての炭鉱町に住む高齢者らが舌鼓を打ち、思い出話に花を咲かせた。

 炭鉱長屋が残る好間町北好間地区には、炭田で働く人たちは家族だとする考え方があり、高齢者らでつくる「北二区ババの会」がその精神を大切にし地域活動をしている。今回の催しはその活動を研究する人たちが企画。会のメンバーら約30人が参加した。

 主催者らは、調理器具を兼ねた当時のドラム缶型のストーブに薪をくべ、炎の中に砕いた石炭を入れた。網の上でサンマを塩焼きにし、鍋ですいとん汁を作った。

 約60年前にトロッコ沿いでボタ拾いをした、いわき市のパート志賀喜美子さん(75)は「(ストーブ内で)火の付いた石炭から上る白い煙の匂いを思い出した。サンマもおいしい」と喜んだ。

 企画した1人、同市の地域活動家江尻浩二郎さん(55)は「かつての暮らしを再現したかった」と笑顔を見せた。