◎今週の一推しイベント
【22日(土)】
▽「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」(~4月13日、港区)
花やチョウをモチーフにした色鮮やかなガラス作品などで知られ、アール・ヌーヴォーを代表する工芸家エミール・ガレ。その生涯に影響を与えた“パリとの関係”に着目する展覧会が、六本木のサントリー美術館で開催されている。
パリ万国博覧会への出品作に加え、初公開となる美術館収蔵資料や自筆文書など110件を通して、ガレの創作と人生を浮き彫りにする。
フランスの地方都市ナンシーに生まれ、父が営む高級ガラス・陶磁器の製造卸販売業を継承した。自然界を研究し、植物や生物の装飾を繊細に施した芸術性の高いガラス作品や陶器、家具を制作。3度のパリ万博で国際的名声を不動のものにした。
1878年万博に出品した花器「鯉」は、当時流行のジャポニスムに影響を受け葛飾北斎の絵からモチーフを転用した。学芸員の林佳美さんは「月光色ガラスはこの万博を目指して開発した技術。パリで自作を認めてもらいたいという若い野心が伝わってくる」と話す。
89年万博では、黒色ガラスを活用して悲しみや生死の物語を表現。「故郷アルザス・ロレーヌ地方の一部が70年に勃発した普仏戦争でドイツに割譲された。志願兵だったガレは花器『ジャンヌ・ダルク』に愛国心と故郷への思いを込めている」
パリ社交界での名士たちとの交際は思想にも影響を与えたが、故郷ナンシーの人々との間に溝を生んだ。ドレフュス事件での急進的態度が批判され、人生を懸けていた1900年のパリ万博を巡っても「地元に利益がない」と反対意見が強く上がった。名声と非難のはざまで苦しみながら、昼顔形花器「蛾」など曲線の美しい傑作を生み、国際的評価を確立した。
その万博の4年後に白血病で世を去る。「芸術家で経営者でもあったガレがパリ万博にいかに繊細な神経を使ってきたかが自筆資料からわかる。アール・ヌーヴォーの先駆者として、短い人生を駆け抜けたとも言えるでしょう」
○そのほかのお薦めイベント
【22日(土)】
▽「ドイツ高級家具のROLF BENZ TOKYOがオープン」(通年営業、渋谷区)
1964年に創業され、世界で初めてコーナーソファを生み出したことで知られるドイツの高級家具ブランド「ROLF BENZ(ロルフベンツ)」の店舗が、神宮前にオープンした。
ドイツ南西部の「黒い森」と呼ばれる自然にあふれたナーゴルト市に工場があり、世界的に有名なデザイナーと職人とのコラボレーションで、革新的なデザインの製品を発表し続けている。
ブランド・マネジャーの名執豪さんは「家具は家族の人生と生活に寄り添う存在。世代を超えて継承される品質の良さこそ、ドイツ製の特徴だと思う」と話す。
本国が監修したフロアはギャラリーのような空間。自然光や外気を取り込んだ開放的な雰囲気が漂い、洗練されたデザインと座り心地の良さを追求したソファが置かれている。「欧米ではインテリアは自己表現の一つと考えられている。ソファがアート作品のような創造性を感じさせるのも、その文化を背景に作られているから」
創業60周年を記念して発表された最新モデル「SINA」は創設当初の代表作である世界初のコーナーソファ「Addiform」をリデザインした。日本語の“雲”にちなみ名づけられた「KUMO」も曲線が美しいソファだ。
「コロナ禍以降、世界のインテリア市場はますます活気づいており、日本でも関心が高まっているが、まだまだ発展の余地がある。日々の生活の場がいかに大きな影響を心に与えるか、良い家具に触れることで知ってもらいたい」
【28日(金)】
▽「スタートアップ支援の拠点でラジオ公開収録&交流イベント」(17時、参加費無料、渋谷区)
文化放送のラジオ番組「浜松町Innovation Culture Cafe(浜カフェ)」と、テレビ朝日「BooSTAR-スタートアップ応援します-」のポッドキャストコンテンツの公開収録が、渋谷サクラステージで行われる。
産業や社会を一変させ得る先端科学技術「ディープテック」領域のスタートアップ支援拠点「SAKURA DEEPTECH SHIBUYA」が、1月にサクラステージで開業したことを記念するイベント。
早稲田大教授の入山章栄さんが、ディープテック・スタートアップの未来について出演者と共に考える。
【1日(土)】
▽「コニカミノルタプラネタリウム 桜ウェルカムドーム」(~4月14日、千代田区)
プラネタリウム本編が始まるまでの間、季節に合わせた映像を上映する有楽町のコニカミノルタプラネタリアTOKYO。3月から桜の季節の映像を観賞できる。
ドームに満開の桜が映し出されると、お花見気分を味わえ、シートから写真撮影も可能。東京スカイツリータウン、池袋サンシャインシティ、横浜、名古屋の同施設でも上映。
▽「桜といちごのアフタヌーンティー“春風”」(~4月30日、キンプトン新宿東京)
桜に着想を得て淡いピンク色にまとめたアフタヌーンティーが、新宿で提供されている。
8種のスイーツの中でも、湖の白鳥をイメージした「桜とチェリーのスワンムース」は注目だ。柔らかなピンク色でふんわりした食感が楽しめる。春の情景をいち早く感じられるだろう。