戦後80年、阪神・淡路大震災の発生から30年の節目となった2025年が幕を閉じる。転換期を実感する、政治や社会の在り方を根本から問い直す出来事が記憶に刻まれた。
政界は激動の連続だった。7月の参院選での自民党大敗、石破政権の退陣を受け、自民党総裁選を制した高市早苗氏が憲政史上初の女性首相に就いた。
しかし首相の「政治とカネ」への対応などに反発した公明党が、長年続いた連立政権を離脱した。自民は連立の相手を日本維新の会に組み替えたものの、安定には遠い。政治改革の焦点だった企業・団体献金の見直しはまたも越年する。国民の不信と向き合う覚悟は見えない。
長引く物価高が家計を圧迫し続けた。コメをはじめ食料品の値上げも収まらない。賃上げ以上にコストが上がる構造を抜本的に改革する必要がある。
こうした中、大阪・関西万博には158カ国・地域が参加、2557万人の一般来場者が訪れた。経済効果が3兆円を上回るとの試算がある一方、建設費の膨張や、長蛇の行列の常態化など運営には課題を残した。
地方政治の混乱が相次いだ。福井県では職員へのセクハラで知事が辞職した。沖縄県南城市もセクハラで、静岡県伊東市では学歴詐称疑惑でそれぞれ市長が失職した。行政への信頼を失墜させる行為で、有権者の負託を裏切った責任は重い。
いまだ告発文書問題の収束が見通せないのが兵庫県政だ。第三者調査委員会は3月、告発者を捜した斎藤元彦知事らの対応が公益通報者保護法違反だと指摘する報告書を出した。知事はこれを受け入れず、平行線が続く。停滞感を自覚し、打破しようとする誠実さが求められる。
今年も酷暑や豪雨が相次ぎ、気象災害は激しさを増す。クマが人を襲う事例も多発した。被害の多くが市街地で出たのは、人とクマの生活圏を分ける里山が人口減で崩壊した証左だ。
プロ野球は阪神タイガースが圧倒的な強さでリーグ優勝を飾り、歌舞伎の世界を描く映画「国宝」が大ヒットするなど心躍る話題もあった。多くの課題が未解決のままだが、来年こそは混迷から抜け出し、平穏な年であってほしい。























