スマートフォンなどを充電するモバイルバッテリーの発火事故が相次いでいることを受け、国土交通省は旅客機内への持ち込みを制限するなど規制を強化した。旅客機に限らず、公共交通機関での発火や発煙は深刻な被害を招きかねない。安全を確保するため、リスクを理解して適切に利用したい。
新たな規定では機内に持ち込めるのは1人2個までで、160ワット時以下の製品に限る。機内コンセントからの充電も禁ずる。違反すると、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性がある。
スマホの高性能化に伴い、消費電力は増加傾向にある。スマホは使用を続けるうちに電池の機能が低下することなどから、モバイルバッテリーは日常生活やビジネスに欠かせないツールとして急速に普及した。
モバイルバッテリーには小型で軽く、蓄えられる電気の量が多いリチウムイオン電池がよく使われている。ただ内部には可燃性の電解液を含んでおり、高温や落下の衝撃などで突然発火する恐れがある。少量の水では消火が難しい。
総務省消防庁によると、2025年のモバイルバッテリーによる火災は前年比66%増の482件に上る。出火原因は外部からの衝撃や高温下での使用・保管が上位を占めた。
航空機内での発火、発煙も後を絶たない。昨年10月には那覇空港を離陸直後の全日空機内で乗客のモバイルバッテリーから煙が出る事故が起きた。昨年1月に韓国・釜山の空港で出発前の航空機が炎上した事故は、座席上の収納棚にあったモバイルバッテリーとの関連が指摘されている。こうしたトラブルは各国で報告されており、国際民間航空機関(ICAO)も対策に乗りだした。
国交省や航空各社はこれまでもモバイルバッテリーを預け入れの荷物に入れることを禁止してきた。事故多発を受け、昨年7月からは機内に持ち込む際は収納棚には入れず、常に手元に置くよう要請していた。
ただ、利用者に十分認識されているとは言い難い。今回のルール厳格化や事故の危険性について、国や事業者は空港内でのアナウンスやチラシの配布など、注意喚起や啓発を一層強化するべきだ。
利用者の自覚も欠かせない。インターネットなどでは安全性が劣る製品も販売されている。購入する際は極端に安価な製品は避け、安全基準を満たしている製品に表示されるPSEマークを確認するなどして選ぶことが重要だ。製造者側も安全性を高める努力を続けてほしい。
高温となる夏場は事故が起こりやすくなる。一人一人が細心の注意を払い、取り扱う必要がある。























