神戸新聞NEXT

 8月に千葉県や北陸地方などで相次いだ猛烈な雨は、河川氾濫や土砂崩れ、浸水被害をもたらした。市街地や集落が水没するなど、水害への備えの弱さを浮き彫りにした。被災地の復旧もままならないうちに、次の災害が新たな場所を襲う。地球温暖化を背景に、大規模災害のリスクが増大している。豪雨の常態化を前提に警戒を強める必要がある。

 きのうは「防災の日」だった。一人一人が災害列島に暮らしていることを自覚し、過去の教訓を生かした備えを改めて確認したい。

 気象庁は8月27日、富山県氷見(ひみ)市や石川県羽咋(はくい)市などに「レベル5大雨特別警報」を発表した。同30日には、福井市や福井県大野市などにも「レベル5大雨特別警報」が出た。各自治体は住民に「緊急安全確保」を発令し、直ちに命を守る行動を取るように求めた。

 同13日に千葉県内で初めて「レベル5大雨特別警報」が出されてから半月ほどで、立て続けの発表となった。もはや特異な状況ではなく、どこにいても局地的な豪雨に見舞われる可能性はある。各地で対策の点検、強化に取り組んでもらいたい。

 千葉豪雨では、わずか半日の間に線状降水帯が3度も発生し、平年の8月1カ月分の数倍に相当する雨が降った。雨水の量が排水能力を上回り、下水道などからあふれる「内水氾濫」が相次いだ。13人の死者を出し、5千棟を超える住宅が被害を受けた。車両2700台超が浸水で動けなくなり、撤去に時間を要した。

 気象庁は線状降水帯の予測精度の向上に取り組んできたが、千葉や北陸では局地的に積乱雲が次々と発生したため、事前予測が難しかったという。そうした限界も踏まえた上で、住民は冠水や浸水の恐れがある危険箇所や避難できる場所などを自治体のハザードマップなどで把握し、身の安全につなげてほしい。

 経験値が通用しない現象に備えるには、迅速で的確な情報の発信が求められる。行政は空振りを恐れず、早めに避難を呼びかける基本を徹底するべきだ。高齢者ら援助が必要な人はより早く避難することが欠かせない。夜間の災害では情報の伝え方にも工夫が要るだろう。住民もどう行動するかを家庭や地域であらかじめ話し合っておくことが肝要だ。

 1時間雨量が50ミリを超える豪雨の発生頻度は増加傾向にある。兵庫でも、過去に大規模な水害や土砂災害が発生しており、気を緩めることはできない。見落とされてきた地域の弱点は何か。いま一度点検を進め、備えをより確かなものとしなければならない。被害はゼロにはできなくても減らすことはできる。大切なのは、平時からの準備である。