ネパールと中国の国境付近の山岳地帯で大規模な土石流と洪水が発生して、きょうで14日目となる。6日時点で死者は両国で1300人を超え、日本人家族5人を含む約5500人が行方不明になっている。犠牲者はさらに増える可能性がある。
土石流のすさまじい破壊力に驚かされる。時速180キロにもなり、住宅や車両を押し流し、堅固な国境検問所や水力発電施設などをのみ込み、集落や農地を壊滅させた。濁流は100キロ近く下流まで到達した。
現地では懸命の捜索・救出活動が続く。ただ、険しい山岳地帯である上、道路網が寸断され、橋も崩落した。通信状況が悪く、被害の全容は明らかではない。上流がせき止められてできる「土砂ダム」が確認され、二次災害の恐れから作業は困難を極める。国際社会による一層の支援が欠かせない。
家を失った多くの人々の命と暮らしを守ることにも全力を挙げたい。国連によると6万5千人が緊急に水や衛生用品などを必要としている。避難所の確保や医療、食料など救援物資の提供を急ぎ、災害関連死を防がねばならない。復旧だけで年単位の支援が要る。地震や風水害など多くの災害を経験してきた日本は、大きな役割を果たせるはずだ。
今回の土石流は、標高5200メートル付近の斜面にある氷河が崩落し、氷や岩石が川の流れをせき止め、その後一気に流出したことで引き起こされたとみられる。崩落はマグニチュード(M)5・2相当の揺れを観測したほどの衝撃だった。
専門家らが指摘するのが、地球温暖化の影響である。現場付近にあるヒマラヤ山脈には多くの氷河があり、北極、南極に次ぐ「第三の極」と呼ばれる。しかし近年は氷河の融解が加速し、ネパールでは過去30年間で3分の1近くの氷が失われたとされる。中国との国境地帯では昨年も、氷河が解けて水がたまった湖が決壊する災害が起きた。こうした氷河湖の決壊は欧米やパキスタンなどでも発生している。地盤の不安定化が大規模な崩落につながり、洪水や土石流が連鎖する恐れがある。
猛烈な暑さや豪雨、山林火災など異常気象と災害が国内外で多発している。世界気象機関(WMO)は今後5年間の世界の平均気温は産業革命前の水準を1・3~1・9度上回ると予測する。気温上昇を抑えない限り災害の激甚化は避けられない。
ネパールはアジア最貧国の一つとされ、経済力の低い途上国ほど影響は深刻だ。環境に多大な負荷を与えながら発展してきた先進国は脅威を直視し、温室効果ガスの排出量削減を加速させるとともに、被害軽減へ防災対策を強化せねばならない。























