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 イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、イエメンの紅海沿岸地域や紅海の入り口にあたる要衝バベルマンデブ海峡を支配下に置いたと表明した。ミサイルなどを保有し「船舶の航行をコントロールする能力がある」と主張している。フーシ派は、サウジアラビアの東西を結ぶ原油パイプラインも攻撃、破壊しており、敵対する同国のエネルギー輸送を妨害する意図があるとみられる。

 米国とイランの対立が続く中、ペルシャ湾の要衝ホルムズ海峡は事実上封鎖される状況が続き、世界2位の産油国サウジは紅海を主な代替ルートと見込んできた。しかしフーシ派の軍事行動に伴い、サウジ西部の石油輸出拠点・ヤンブー港での積み出しが止まった。

 影響が長引けば世界の石油供給量の4%が失われるとの分析があり、石油価格はさらに高騰する恐れがある。国際社会が結束し、紅海ルートの維持を図らなければならない。

 日本への影響は特に深刻だ。サウジは、米国やアラブ首長国連邦(UAE)とともに主要な石油輸入先である。2月の米国によるイラン攻撃後、日本は調達先の多角化を目指しているが、それでも中東からの輸入は約6割に上っている。クウェートなども紅海を石油輸送ルートに見込んでいる。フーシ派は「サウジ船舶を除き、航行は安全だ」とするものの、攻撃の応酬が激化すれば他国の輸出も滞る可能性がある。

 軍事行動についてフーシ派幹部は独自の決定だと説明し、イラン側も関与を否定している。だがイランとサウジは長年敵対しており、フーシ派による攻撃にも意を通じているとみるのが自然だろう。

 米の攻撃開始後、イランはペルシャ湾岸諸国への攻撃を繰り返している。中東全域に混乱を広げれば、孤立を深めるだけだ。米のイラン攻撃に対しては米同盟国も距離を置いている。イランはパキスタンなどを介し、被害回復や核協議の交渉のテーブルに戻るべきだ。世界経済を人質に圧力をかける手法は許されない。

 イエメンでは長年内戦が続き、国民は疲弊している。現在はサウジが支援する暫定政権が統治し、親イランのフーシ派と対立している。今後は和平交渉が欠かせない。

 フーシ派は、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラなどと「抵抗の枢軸」と呼ばれる勢力を形成する。2023年10月、イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの攻撃を開始すると、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスを支援してきた。中東の安定化には、対立の根源にあるパレスチナ問題の解決が欠かせない。国際社会はパレスチナとイスラエルの2国共存の実現を図る必要がある。