11月の米中間選挙を前に、トランプ大統領がこれまで以上にロシアにすり寄る姿勢を見せている。
ロシアによるウクライナ侵攻後、米国はロシア産石油製品の輸入を禁止し、譲歩するよう圧力をかけてきた。併せて日本や欧州などにもロシアへのエネルギー依存の脱却を求めてきた。ところが、10月に入って突然、方針を転換した。
トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)で、ロシアが米国や国際市場に軽油を供給することでプーチン大統領と合意したと表明した。加えて、米連邦議会が可決し、自身が署名して成立させた経済制裁の実施を見送った。制裁はロシア産の原油や天然ガスを大量に輸入する国に最大100%の関税を課すほか、ロシアからの輸入品に最大500%の関税をかける内容で、戦争継続の資金源を絶つ狙いがあった。
これらの措置で米国内の軽油価格が下がるとトランプ氏は主張する。中間選挙では与党共和党の劣勢が伝えられており、燃料高に対する有権者の不満を和らげようと躍起になっているのが透けて見える。
一連のトランプ氏の行動は、選挙対策のために侵攻を続けるロシアを利する暴挙にほかならない。撤回を強く求める。ウクライナ国民には裏切りと映るだろう。共和党の連邦議会議員からも批判の声が上がったが、少数にとどまり、大統領の暴走を許している状況だ。
米国をはじめ世界各国でエネルギー価格が高騰しているのは、ほかならぬ米国がイスラエルとともに仕掛けたイラン攻撃を発端とする中東の混迷が原因である。
にもかかわらず、トランプ氏はウクライナがロシアの製油所を攻撃したからだと責任を転嫁し、「ディール(取引)できる新たな大統領を迎えるべきだ」とゼレンスキー大統領に矛先を向けた。
気に入らない人物をSNSなどで毎日のように罵倒するトランプ氏だが、これらの発言は断じて容認できない。国際社会における米国への信頼をさらに傷つけるだけでなく、権威主義的な国を勢いづかせるリスクをはらむ。
トランプ氏は、米中ロ3カ国の首脳会談にも意欲を示す。もとはプーチン大統領がウクライナ情勢を議題に開催を提案したとされる。現時点で実現は不透明だが、ウクライナを抜きに戦闘終結が話し合われるようなことがあってはならない。ゼレンスキー大統領が猛反発しているのは当然である。
「法の支配」が脅威にさらされている。日本は欧州などの同志国と結束し、ロシア制裁の実効性を高める努力を続けるべきだ。























