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神戸・北区5人殺傷事件

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重傷の女性を保護した団体職員の男性。事件当時の緊迫した状況を語った=17日午後、神戸市北区
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重傷の女性を保護した団体職員の男性。事件当時の緊迫した状況を語った=17日午後、神戸市北区
男から逃れた体験を地図のコピーを指さしながら語った男性=17日夜、神戸市北区
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男から逃れた体験を地図のコピーを指さしながら語った男性=17日夜、神戸市北区

 16日早朝、神戸市北区で起きた5人殺傷事件。殺人容疑で再逮捕された男(26)に襲われた(男の)母親(52)を助けた団体職員の男性(70)=同区=と、5人目の女性が切りつけられた直後に金属バットと刃物を持った男と遭遇した近隣の男性(61)が、当時の緊迫した状況を語った。「(男は)無表情で冷たい感じだった」と証言する一方、「突然の出来事に恐怖を感じる余裕もなかった」と振り返った。

 自宅から神戸電鉄岡場駅間を往復する散歩を日課としている団体職員の男性。この日は朝から洗濯をしていたため、いつもより40分遅れの出発だった。岡場駅を折り返し、有馬街道を南下。右向きの緩やかなカーブにさしかかった午前6時20分ごろ、目の前の異変に気づいた。「交通事故かな」。そう思って近寄ると、血を流して大けがをした母親がはだしのまま座っていた。右目の上部が大きく腫れ、後頭部付近から流れ出る血が、顔や首筋、手、足まで伝い、淡いカラフルなワンピースも赤くなっていた。

 「息子に金属バットで殴られた」

 「家の中に父と母が…。助けてください」

 涙ながらに訴える母親。男性は「それよりも、あんたの方が先や」と119番し、近くの男性に110番を頼んだ。救急隊や警察が到着するまでの約10分間、母親は落ち着かない様子で立ったり座ったりを繰り返し、両親の安否を心配していたという。

 駆け付けた救急隊員に母親を預け、その場を離れた。警察官の携帯する無線から「犯人確保」との声がかすかに聞こえた。有間神社前には2台パトカーが止まっており、3人の警察官に囲まれて境内から出てきた男が車内に乗せられていた。

 帰宅後、家族から事件のことを聞き、5人が死傷したことを知った。男性は「いつも通りに散歩していたら自分も襲われたかもしれない。そう思うと恐ろしい」と話した。

【わずか10メートル先、手に刃物 目撃者が恐怖語る】

 近隣の男性は午前6時ごろ、近くの田んぼに向かおうと庭に出た。まもなく「ギャー」という女性の叫び声が聞こえた。庭を飛び出し、声がした女性(65)=重傷=宅の方向へ駆け寄ると、建物脇から突然、男が出てきた。目が合う。その距離、わずか10メートルほど。片手に刃物、もう一方にはバット。白っぽいシャツには血が飛び散っているように見えた。

 男に表情はなく、慌てた様子もうかがえない。見覚えもなかった。ただ、瞬間的に思った。「逃げなあかん」。振り向くと、同じように様子を見に来た若い女性が立っていた。女性の腕を取り、無我夢中で走った。線路を越え、近くの家の戸をたたいて回った。早朝のせいか誰も出てこない。

 いつの間にか、女性とは別々に走っていた。見回すと田んぼを挟んで数十メートル離れた有間神社近くを女性が走っていた。後方には男の姿。そこへパトカーが駆け付けた。「止まれ!」。警察官が制止を求める。バットが落ちる音と同時に、男は取り押さえられた。

 女性が保護されたのを確認し、男と最初に遭遇した場所に戻ると、血を流して倒れる女性の姿があった。自宅へ戻り携帯電話で救助を求めた。

 テレビを見ると、ニュースが惨状を伝えていた。まさかこんなのどかな集落で-。男は長く地元に暮らしていたとみられるが「名前を聞いても、やはり分からない。報道を見てやっと恐怖感がわいてきました」。

2017/7/18
 

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