神戸・北区5人殺傷事件
神戸市北区で2017年7月、祖父母ら男女5人を殺傷したとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた被告の男(30)の裁判員裁判の判決が4日、神戸地裁(飯島健太郎裁判長)で言い渡される。被告には事件当時、精神疾患の症状があったとされ、争点は刑事責任能力の有無。疾患の影響を巡り、精神鑑定を担当した専門医2人の見解が割れる中、裁判員の判断が注目される。
検察、弁護側とも被告が統合失調症を発症していた点で認識が一致。被告は「自分と幻聴の声の女性以外は人間ではなく、倒せば声の女性と結婚できる」という内容の妄想を抱いていたとされる。争点は、こうした症状の影響下で、被告に善悪を判断し行動を制御する刑事責任能力があったかどうかだ。
刑法39条は、同能力を一部欠く「心神耗弱」は刑を減軽し、完全に欠く「心神喪失」は罰しないと規定。検察は、被告は心神耗弱状態にあり「死刑を選択すべきだが減軽しなければならない」として無期懲役を求刑した。弁護側は心神喪失状態を主張、無罪を求めている。
被告の精神状態について専門医の見解も分かれた。神戸地検は起訴前に精神鑑定を2度実施。1回目の鑑定医は、症状は重度で「犯行への影響は圧倒的」と診断し、弁護側の主張の根拠になった。2回目の鑑定医は「思いとどまる判断を行う自由が一定程度あった」としており、検察の主張に沿う。
起訴状によると、被告は17年7月16日早朝、神戸市北区の自宅や周辺で、祖父=当時(83)、祖母=同(83)、近くの女性=同(79)=を包丁で刺すなどして殺害。母親(57)や近くの女性(69)にもけがを負わせたとされる。
被告は起訴内容を認め、被害者や遺族に「申し訳ない」と謝罪。現在は投薬治療で症状が改善し、事件当時に聞こえた声について今は「幻聴と思っている」と供述した。
2021/11/3
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