がんの患者ごとに遺伝子を検査し、最適な治療薬を届ける「がんゲノム医療」を受けた件数が3月末で10万件を超えた。しかし実際に治療薬が見つかった件数は7000件程度に過ぎない。検査条件が末期患者に限られるなど制度設計の問題もあるが、背景には高額な検査費用に対する医療費増への懸念が立ちはだかっているようだ。
今年5月、国立がん研究センターは2019年から始まったゲノム医療の中核となる「遺伝子パネル検査」に登録した人が10万例を超えたと発表した。河野隆志・がんゲノム情報管理センター長は「一つの大きな通過点で、より多くのデータを集めて治療の向上に使いたい」と成果を強調する。