相続税収の増加が止まらない。2025年度は3.6兆円台と過去最高を更新する見通しだ。15年に課税対象が広がった上、近年は都市部の地価上昇、少子化によるきょうだいの減少も税収を押し上げる。負担の裾野は徐々に広がっており、大相続時代が到来しつつある。「お金持ちの家の子だけが支払う税」というイメージは過去のものになっている。

「親が亡くなったときは相続税がゼロだったのに、まさか自分が亡くなると2000万円の相続税が子どもに生じるとは」
都心に暮らす男性はこんな悩みに直面している。
25坪ほどの小さな自宅兼貸しビルを所有する。10年ほど前、母親が亡くなったときに法定相続人は3人いた。
当時の制度では、相続税の基礎控除は5000万円プラス法定相続人1人1000万円だったため相続税の納税はなかった。資産評価のベースとなる路線価についても1平方メートル84万円と低かった。
























