三毛猫の姉妹「クラ」ちゃん、「ステラ」ちゃんと、Xユーザー・junさん(@jun_eighter_)との出会いは、再び明かりが灯ったかのような希望を感じさせるものでした。
クラちゃん、ステラちゃんを迎えたきっかけは、先住の三毛猫さんが虹の橋を渡ったことでした。
「先住の愛猫が11才のとき、血栓が腰に飛んで下半身不随になり、1週間後に亡くなりました。突然ともに暮らした子を亡くして…猫も犬もいない生活は初めてで、深いペットロスに陥りました。当時は動物園の年間パスを購入して、毎週のように通い詰めたのを覚えています」
そんな日々のなか、転機が訪れたのは2017年4月のこと。飼い主さんの職場でよく見かけていた猫が、おなかの大きい状態で現れたのです。
「これまで何度も保護を試みましたが、警戒心が強くて保護できませんでした。でも、おなかが大きくなっているのを見て、出産するかもしれないと思い、ダンボールにタオルを敷いてそっと置いてみたんです」
すると、その猫は人気のない深夜にその箱の中で4匹の子猫を出産。母猫は4匹のうち1匹を連れてその場を去り、残った3匹のうち1匹には里親さんがみつかりました。そして母猫は避妊手術を受け、携わった関係者のもとで見守られることにーー
「残る2匹、クラとステラを我が家で迎えました。先住猫を亡くしてちょうど1カ月後のこと。2匹一緒に迎えられる環境が整っていたことを思うと、クラとステラとの出会いは運命だったと感じます」
■子猫のお世話に奮闘する日々-最も大変だったのは
生後まもなく保護したクラちゃんとステラちゃん。ふたりの命を育むため、飼い主さんご家族は協力し合い、2~3時間おきにミルクと排泄の世話を続けました。
「いちばん大変だったのは便秘です。1日排便がないときは様子を見て、2日目も出ない場合は、保護猫に親切な動物病院へ連れて行きました。子猫の便秘は命に関わることもあるため、腸の動きを促すようにおなかをマッサージしました。無事に便秘が解消できたときは、本当にほっとしました」
その名残か、今でもクラちゃんはおなかのマッサージが大好きなのだそう。小さなころの記憶と安心感が、今も心地よさとして残っているのかもしれません。
ふたりを迎えたことで、家の環境にも大きな変化がありました。
「子どもが読書やゲームに使っていた部屋を子猫部屋にしました。誤飲の危険があるものを処分し、使っていない物を断捨離して部屋を広く使えるようにして…。子猫のために、家族が一致団結したように思います」
■猫も人間も同じ 個性豊かなふたりと歩むかけがえのない毎日
現在8歳になったクラちゃんとステラちゃん。年齢を重ねるにつれて、それぞれの個性がよりいっそう際立ってきました。
「性格はどちらも人見知りしない甘えん坊です。チャイムが鳴ると玄関に走って行きますし、清掃業者さんが来ると靴や手荷物を嗅いで、興味津々。でも、猫と暮らしている人が来ると、ステラは敏感に感じ取ってシャーッと威嚇するんです」
ステラちゃんは、少し独占欲が強い一面もあるようで、姉妹のクラちゃんに対しても、時折シャーッと威嚇することがあるのだとか。
「クラは、ステラにシャーッされても反撃しませんし、人間に対しても威嚇しません」
毎朝の過ごし方にも、ふたりの違いがよく表れているようです。
「クラは朝、おなかのマッサージをしてもらうのがルーティン。ある意味、“腸活”ですね。ごはんのときは高い声で鳴いて、甘えたいときは“サイレントニャー”をします。一方、ステラは朝も夜も抱っこされるのが大好きな“抱っこちゃん”。寂しいと『アオーン』と鳴いて、よくおしゃべりをします。短いシッポがチャームポイントです」
お手入れの好みにも、それぞれの“らしさ”がくっきりと現れています。
「クラはブラシでのブラッシングが大好き。一方でステラは、手で撫でながらの“ハンドブラッシング”がお気に入り。クラはおなかのマッサージも好きですが、ステラはケリケリしてくるので、あまり得意ではなさそうです」
優しい家族に囲まれて、のびのびと暮らすクラちゃんとステラちゃん。ふたりは、飼い主さん家族とともに、日々穏やかに絆を育んでいます。
「姉妹で同じ日に生まれて、同じように育てても、やっぱり性格は違いますね。生まれ持った性格ってあるのかもしれません。猫も人間も、きっと同じなんだと思います」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)