体育会系で明るい娘が、暴言を受けトイレで泣いていたという(photoACより「webbiz」さん撮影、イメージ画像)
体育会系で明るい娘が、暴言を受けトイレで泣いていたという(photoACより「webbiz」さん撮影、イメージ画像)

「ママ、手が震える、心臓がドキドキするし怖い」-娘から届いたLINEに、母親の胸は張り裂けそうになった。

投稿したのは、Xユーザーの「なみちゃん」さん(@CHOKOCHOKO721)。膠原病由来の間質性肺炎で在宅酸素を使用し、闘病生活を続けている。

娘が会社でパワハラを受けていることを知り、なみちゃんさんは「ママは余命少ない難病患者だけど、戦うぞ!娘の為なら何だってできる!最悪、酸素ボンベで殴りに行ったる」と強い決意を綴った。この投稿は大きな反響を呼び、多くの共感やアドバイスが寄せられている。

■娘の涙に「母熊のような気持ちに」

取材に応じたなみちゃんさんによると、体育会系で明るい娘が、暴言を受けトイレで泣いていたという。

「自分の病気のことなんて吹き飛んでしまって、とにかく娘を助けなきゃと必死で労働相談窓口を検索しました。母熊が子を襲われたときのような気持ちでしたね」と振り返る。

間質性肺炎の平均余命は5~6年といわれる中、発症から8年目を迎える彼女。それでも「酸素ボンベで殴りたい」とまで表現した怒りと娘を守りたい気持ちは本気だったと語る。 

■「院長1人、娘1人」の職場で

娘が勤めるのは整体院。人事も労組もなく、同僚もいない環境だ。

「給与振込が遅れたり、レジのお金を勝手に持ち出したり、施術中に鼻をほじったり居眠りしたり…。それでも娘は仕事や患者さんが好きで、泣きながら耐えてきました」と母は明かす。

孤独な環境で浴びせられる威圧的な言葉に、娘は心身を追い詰められている。

■ 「ユニオン」や労働局へ相談

今後については「ユニオンに相談し、東京都労働相談センターへの相談や精神科で診断書をもらう選択肢があると助言をもらいました」と話す。

投稿には真剣なアドバイスのほか、「溶接工です、上司を溶接します」「土木です、埋めます」といった“大喜利”も寄せられ、母娘を励ます声が絶えなかった。

■同じ悩みを抱える人へ

最後に、なみちゃんさんはこう呼びかける。

「悔しいですが、メンタルが参ってしまう前に“逃げる=退職”することを勧めます。小さな会社でもユニオンや労働相談センターなど、味方になってくれる組織はあります。知恵と仲間を得て、上手に辞めてほしい」

病と闘う母の切実な言葉は、多くの人に「働く環境を選び直す勇気」を与えている。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)