毎日午後2時を過ぎると、隣の家の前にママ友たちが集まり始め、狭い道路を遊び場にして大騒ぎ--。在宅ワーク中のAさんは、オンライン会議中も響き渡る声に悩まされ続けています。「最初は感じのいい家族だと思ったのに…」とこぼすAさん。分譲住宅に越してきた“おかしな隣人”との静かな攻防が続いています。
■毎日14時過ぎ~17時頃の憂鬱タイム
関東在住のAさん(40代、個人事業主)は、10年前から35年ローンで建てた一戸建てに、会社員の夫と高校生の息子2人と暮らしています。最寄り駅から続く商店街から少し離れているものの、周辺には戸建てだけでなくマンションも多く建っている地域です。幹線道路からも距離があり、日中は宅配業者の車がときどき出入りする程度の、静かな環境に住まいはありました。
Aさんはもともと簿記1級の資格を持ち、長年会計事務所で補助業務を担当していました。子育てが一段落してからは、経理業務の仕事を請け負う在宅の個人事業主として働いています。
そんなAさんがここ1年ほど、平日の14時~17時の3時間、毎日のように悩まされているのが、隣の家の前から聞こえてくる騒がしい声です。
Aさんの家の隣には、もともと広めのコインパーキングがありましたが、売却されて分譲戸建てに。複数の家族がそこに引っ越してきました。
「コインパーキングは来客時に便利だったけれど、家の横が丸見えだったし、防犯の面では人が住んでくれた方が安心かもしれない」と、分譲戸建ての建設を前向きに受け止めていました。工事中の騒音にも「最近は日曜や夜に工事音を出さないなんて良心的だな」と感じるなど、Aさんは普段から細かいことを気にしない性格でした。
■お隣さんが毎日子連れママ友を招いて
駅から徒歩圏、小学校も10分程度の立地だったこともあり、分譲戸建てはすぐに完売。若い夫婦や小さな子どもを持つファミリー層が入居してきました。
その中で直接の隣人となった家庭とは、引越し当日にあいさつを交わした程度で、当初は特に問題もマイナスな印象もなかったといいます。
ところが1年ほど経ったある頃から、14時を過ぎると、子どもたちのはしゃぎ声だけでなく、母親たちの立ち話の声が気になるようになりました。
最初は2~3組で、立ち話も30分ほどでしたが、季節のよい時期になると時間はどんどん長くなり、人数も増加。多いときには5組ほど、10人以上が家の前の狭い道路を遊び場として使うようになってしまいました。
どうもお隣さんが毎日のように「ちょっと子どもを遊ばせない?」と声をかけているようです。
実はこの時間帯はAさんにとっていちばん仕事に集中したいところ。オンラインミーティングが入ることも多く、正直なところかなり困っているといいます。
■家族に相談しても理解されず…
しかし、夫に相談しても、子どもに愚痴っても「小さな子が家に帰ってきて遊んでいる声に目くじら立てるなんて。少子化なんだからそのくらい我慢しないと」「別に静かじゃない?」と取り合ってもらえないそうです。
「これまでは窓を開けていても静かだっただけに、余計にうるさく感じてしまうのだと思います。でも、ここは公園ではなく、道路です。人数が多いせいか、子どもをちゃんと見ていないこともあり、危ないと感じることもあります。
子どもの声よりも、幼稚園の先生や旦那さんの悪口で盛り上がっているお母さんたちの声の方がよほど大きいかもしれません。第一、そんなに一緒に遊びたいなら自宅に招けばいいのに。幼稚園の夏休みや冬休みは集まらないので、その時期が待ち遠しいです……」
周囲の家庭は、日中は働きに出ていて不在が多いようで、注意する人も見当たりません。Aさんはせめてもの抵抗として、立ち話が始まるとわざと音を立てて窓を閉めていますが、あまり効果はないようです。
「どこまで我慢するべきか」の判断に悩む隣人問題。あなたの周りにも、似たようなケースはあるかもしれません。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)