新潟の雪深い山あいで築120年の古民家を再生している男性が、隣の空き家の裏にある小さな池で、十数年ものあいだ一匹で生き延びていた金魚を発見し、保護しました。その様子をYouTubeチャンネル「古民家TV」(@kominkaTV)で公開すると、大きな反響が寄せられました。
スキーやスノーボードで新潟を訪れるうちに、「いつか雪深い地域で暮らしたい」と考えるようになったという投稿主さん。東京での暮らしを離れ、コロナ禍を機に古民家生活を実現しようと物件を探し始めたそうです。
そんな中で出会ったのが、茅葺き屋根の二階建てで屋根裏も備えた珍しい造りの古民家でした。高さは約9メートルに及び、実質三階建てに近い堂々とした佇まいです。両玄関は雪の重みで崩れ、建物全体も老朽化していましたが、その姿に強く惹かれ、購入を決意したといいます。
古民家を住める状態に戻すべく作業を進めていたある日、投稿主さんは隣の空き家の裏で、小さな池に取り残された一匹の大きな金魚を見つけました。
「十数年前、持ち主が村を離れる際に池に放したのではないか、と聞きました。数年前まで生存を確認されていたそうですが、今も生き続けていたことに驚きです」
池の広さはわずか一平方メートルほど。泳ぐというより、かろうじて身動きができる程度の狭さでした。
「魚として生まれた以上、もっと自由に泳ぎたいはずだと感じました。寿命を考えると、最後は広い場所で仲間と過ごさせたいと思い、保護を決めたんです」
ちょうど自宅裏の池を復旧できたことをきっかけに、金魚を移す準備を進めました。
「空き家の持ち主に相談したところ、『ぜひ、そうしてほしい』と快く承諾してくださいました。水源についても横井戸の使用を認めていただきましたが、実際には枯れており、調べると元は我が家の敷地内の水であることが分かったんです」
池の周囲は木々に覆われ、近づくことさえ困難でした。
「ノコギリとナタで枝を切り開き、ようやく池にたどり着きました。驚いたことに金魚は抵抗せず、すぐに保護できました」
保護された金魚はすぐに新しい池に馴染み、同じ種類の稚魚を迎えると群れをつくるようになったそうです。
「今ではその稚魚も10センチ以上に成長。群れで泳ぐ姿を見ると涙が出るほど嬉しく、『やってよかった』と思います」
現在は東京に出稼ぎに出ている投稿主さんに代わり、近隣住民が餌やりや世話を手伝っているのだとか。限界集落で暮らす中、金魚は「種の違う友人」として心の支えにもなっているといいます。
現在、投稿主さんは東京での出稼ぎのため古民家を離れていますが、近隣住民が餌やりや世話を手伝ってくれているといいます。限界集落での暮らしの中で、金魚は「種の違う友人」として心の支えになっているそうです。
金魚の保護に関する動画には多くの反響が寄せられました。「金魚救い」「新しく優しい主さんが来てくれて本当に良かった」などの声のほか、「今の場所に移したことで天敵に狙われやすくなったのでは」と心配する声も見られました。これを受けて投稿主さんは、池にシェード(日よけ)を設置するなど、魚たちを守る工夫も行っています。
今後の目標については、古民家を「宿泊型カフェ」として再生し、都市部の人々が自然の中で滞在できる場を目指しているといいます。
「ワーケーションの拠点となり、人の気配が少しでも戻れば嬉しいです。周囲の温泉やスキー場と合わせ、地域全体がリフレッシュの場として知られることを夢見ています」