4歳になった澄くんは笑顔で初カットを迎えた/糒義徳さん(@hmj_fuk_hoshii_short)提供
4歳になった澄くんは笑顔で初カットを迎えた/糒義徳さん(@hmj_fuk_hoshii_short)提供

生まれてから4年間、一度もハサミを入れたことがなく長髪だった少年がヘアドネーションのために人生初のヘアカットに臨む様子がInstagramで公開され、話題となっています。投稿主は、福岡で美容師を務める糒義徳さん(@hmj_fuk_hoshii_short)。過去にはハサミを嫌がったこともあるという4歳の男の子・澄(すみ)くんが、糒さんとコミュニケーションを取るうちにすっかり打ち解け、最後には短髪になった自身の姿を鏡で見て満足げな表情を浮かべる様子に「かっこよくなった!」「なんて貴重な体験」と感動の声が集まりました。

糒さんによると、ヘアカットを施術した当日は、澄くんの4歳の誕生日の翌日だったのだとか。

「4歳の誕生日を節目に、ご両親が澄くん本人とヘアカットすることを話し合い、決めていたそうです」

両親いわく、これまで澄くんは髪を切ることを嫌がり、ハサミを見ると2歳の頃には泣いてしまい、3歳になると「切りたくない」と拒否したためヘアカットを見送ってきたといいます。

実は今回もカット直前まで澄くんには迷いがあったようで、1週間前になって「やっぱり切らない」と言っていたそう。そんな気持ちの揺らぎがありながらも、無事に当日はお店へ来てくれたのだといいます。

実は今回のヘアカットには、切った髪を病気などで髪を失った人に届ける「ヘアドネーション」として寄付する目的もありました。小さな男の子のヘアドネーションを任されたのは、糒さんにとって初めての経験だったそう。

「澄くんはまだ4歳なので本人がヘアドネーションのことをどこまで理解しているか分かりかねますが、子どもがヘアドネーションをする際は、ご両親が『病気で髪の毛がなくなってしまったお友達に髪をプレゼントしてあげるんだよ』と伝えていることが多いです」

カット前のカウンセリングでは、澄くん本人の希望を最優先。「やさしいのがいいなあ」というリクエストに応えた糒さんは、「刈り上げたり短くしすぎたりすると強いイメージになるので、前髪はおろして全体に自然な長さを残しました」と語ります。

髪には生まれてから4年間の思い出が詰まっていたため、糒さん自身も美容師として特別な思いを込めてハサミを入れたと語ります。ニコニコしながら髪を切られている澄くんは、「髪を切られるの楽しみだった?」という糒さんの問いかけに対し、「たのしみだった!」と満面の笑み。そんな姿を見て、ご両親は「涙が出そう」と感極まっていたそう。

鏡の前で短髪となった新しい自分の姿を見た澄くんは、満足げな表情で「兄弟やおじいちゃんおばあちゃん、お友達、幼稚園の先生に新しい髪型を見せるのが楽しみ」と言っていたのだとか。

投稿にはさまざまな声が寄せられましたが、中でも糒さんが印象的だったのは澄くんの家族からのコメントだったといいます。

「親御様から温かいお礼のお言葉と、『“すみ髪切ったんだよー”って会う人、会う人に言って歩いています』とカット後の澄くんの様子を教えていただけたことが光栄でした。ほかにも、過去に育児に悩んだ経験のある視聴者からのコメントに澄くんのお母様が返信をして下さっており、温かさと共にSNSの良さを感じました」

日頃から子どものヘアカットを数多く担当している糒さん。小さな子をカットする際には、嫌がらずに座れる工夫も大切だといいます。

「とにかくワクワクする言葉をかけるようにします。子どもだから、大人だから…とかではなく1人のお客様として、その時の表情や空気感を感じて、こちらも言葉を選んだり空気づくりをしています」

最後に、子どもの髪に悩む親へもアドバイスを聞きました。

「子どもでも大人でも悩みがあれば、1人で悩んでいる時間はもったいないです。悩んでいる事柄に合う技術を発信している美容師さん、仕事への想いや人間性に共感できる人を頼ってみてください」