東京都台東区・御徒町駅近くで浮上したモスク(イスラム教の礼拝堂)の建設計画をめぐり、SNS上で賛否の声が広がっている。外国人を排斥する差別的発言も見られる中、SNS上ではそんな風潮に一石を投じる投稿が。
「御徒町のモスク建て替えに言いがかりをつけてる人がいるようですが、反応を見てるとどうやらそもそもモスクってものをよく知らない人もいるようなので、ここで愛知県の飛島モスクの写真を置いときますね。併設のカレー屋が超うまい。」
と数枚の写真を紹介したのは須藤玲司さん(@LazyWorkz)。
須藤さんが紹介したのは愛知県飛島村の飛島モスク。古いガレージか倉庫のような外見だがれっきとしたモスクで、定期的に地域のイスラム教徒が集まっている。本格カレー店が併設されており、非イスラム教徒の日本人でも自由に利用できるようだ。ネット上では「え、モスク?」「寺じゃなくて?」と驚きの声が上がっている。
これらの写真を見ていると、モスクは本来ただの宗教施設にすぎないことがよくわかる。一部の新興宗教の施設にくらべるとむしろ開かれた空間だと言えるだろう。それに違和感を覚えたり警戒心を抱くのは、モスクへの知識を持たないがゆえではないのだろうか。須藤さんにお話を聞いた。
ーー昨今の御徒町のモスクの件につい て感想を。
須藤:十数年前から御徒町にモスクがあったことに気づきもしなかった人たちが、建て替えで急に騒ぎ出すのはいかにも不自然ですが、だいぶ前からいる隣人の存在感が良くも悪くも少しずつ増してきて、みんな気づきはじめたのでしょう。
ーー飛島モスクを訪れた経緯は?
須藤:移民の方がやっている本場感たっぷりの食堂、いわゆる異国飯屋が好きなので、併設のカレー屋目当てに、わりと近所なので訪れました。田んぼの中に農家か寂れたお寺のようなものが建っていて、近づくと看板がアラビア語でした。愛知県西部には個性的なモスクがいくつもありますが、いちばん田舎の風景になじんでます。あとカレーはめちゃめちゃうまいです。
ーー投稿への反響について感想を。
須藤:モスクのことをあんまり知らない人がけっこういるんじゃないかと思います。気づいてないだけで、意外と身近にあるかもしれません。
モスクは教会のように開かれていて誰でも入れるところが多いです。あと、近くには美味しい異国カレー屋があることが多いです。散歩の途中にお寺や神社の境内に立ち寄るようなノリでふらっと見学してみて、ついでに本場のカレーを食べてみるといいんじゃないでしょうか。
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SNSユーザー達から
「今日の仕事場近くの礼拝所もインドカレー屋の中です 狭すぎるので金曜礼拝は2部制」
「外見は普通の民家ですね。 外見が本格的かどうかは知りませんが、イスラム建築のデザインなのがお気に召さないのでは。私はモダンでかっこいいから一度見学に行きたいなと思ったぐらいですが。」
「『併設のカレー屋が超うまい。』←重要!」
など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。SNS上では外国人排斥論やあきらかな差別論も根強いが、異文化を理解することでより良い社会が訪れると信じたい。
なお須藤さんは山谷剛史さんの『移民時代の異国飯』(星海社)に影響されて地元の"異国飯屋"を巡っているという。日本に溶け込む移民文化の理解にうってつけの一冊なので、ご興味ある方はぜひ手に取っていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)