保護当日、猫風邪で体調を崩していたかつおちゃん(画像提供:ネムノキさん)
保護当日、猫風邪で体調を崩していたかつおちゃん(画像提供:ネムノキさん)

子どもの頃から猫と暮らしてきたXユーザー・ネムノキさん(@katsusagosakana)。大人になってからもまた猫と暮らしたいという気持ちを抱きながら暮らしていました。ある日、ご縁が結ばれたのが「かつお」ちゃん(3歳・女の子)。保護時は生後推定1カ月半の小さな子猫でした。

■保護猫と暮らすきっかけは家族の変化から

「猫と暮らしたいというのは私の希望でした。実家では子供の頃からずっと猫を飼っていました。『子育てが一段落したらまた…』というのが密かな夢でしたが、優しくて責任感の強い長女が生き物を飼うことに反対で、半ば諦めてもいました」

転機は、兄家族のもとに迷い猫が現れたことでした。

「急逝した母(子供たちにとっては祖母)の百箇日の法要直後、庭に茶トラの子猫が迷い込んできたんです。兄夫婦も『この日がこの日だから縁を感じる』と保護しました。その子がとにかく可愛くて…。度々触れ合ううちに、頑なだった娘の気持ちに変化が起こり、『保護猫だったら迎えてもいいかなぁ』と話してくれるようになりました」

その言葉を聞いた飼い主さんは行動を決意しました。

「この機会を逃すわけにはいかない!と思って、キャットケージ(3段)、キャリー、トイレや砂、爪研ぎ爪切り…思いつくままに用意しました。そして兄夫婦にも話をしていたところ、『近所で野良猫が子猫を産んで里親を探している』と聞き、すぐにキャリーを持って訪ねました」

そこで出会ったのが、かつおちゃんでした。

「庭にはたくさん野良猫がいましたが、おじさんの足元にいた子猫をポンッと渡されて抱いたのがかつおでした。小さくて軽くて温かくて、『ありがとうございます。必ず幸せにします』と気付いたら口から出ていました。かつおはまだ母猫や兄弟と一緒でしたが、猫風邪をひいていて目やにや鼻水が出ていました。その日のうちに病院でノミ取りやお腹の検査を受け、猫風邪の症状もすぐに落ち着きました」

■迎えた初日から膝や肩に 小さな存在に家族みんなが夢中に

かつおちゃんを迎えたその日、子どもたちが事前に考えていた名前をつけました。

「男の子を迎えるつもりだったのでかつおと決めていたのですが、まさかの女の子。でもそのままかつお(本当はかつおぶし)になりました」

初めての家でも人懐っこさを見せたといいます。

「家に着いてすぐ、誰かの膝や肩に乗って眠りました。思っていたより小さかったので、子猫用のフードとミルクを長男が買いに走ってくれました。トイレは覚えていなくて、あちこちで失敗してしまいましたが、その仕草さえ可愛くて笑顔になってしまいました」

夜はケージに入れてみましたが、ひとりで眠れず夜泣きが続きました。

「寝不足の日々でしたが、すぐに根負けしてしまい、今に至るまで一緒に布団で寝ています」

最初に反対していた娘も、かつおちゃんのかわいらしさにすぐ心を動かされました。

「当時、浪人生だった長女も、もともと動物が好きなのでメロメロに。中学生の長男も幼稚園児の次男も同じでした」

しかし、楽しい日々ばかりではありませんでした。

「一番悩んだのは噛み癖です。兄弟と過ごす時間が少なかったからか加減を知らず、家族の腕や足は傷だらけ。座っているだけで手にじゃれつき、幼稚園児だった末っ子が歩いただけで足に飛びかかってくることもありました。やめさせようと色々試しましたが直らず、ついに末っ子がかつおを怖がるようになってしまい、本当に辛かったです」

■ツンデレで大胆、そして頼もしい一面も

今のかつおちゃんは、家族にとってかけがえのない存在になっています。

「かつおは、絵に描いたようなツンデレガールです。とても猫らしい猫で、繊細な一面も大胆な一面もあります」

臆病さと好奇心の両面を見せてくれるといいます。

「掃除機やビニール袋の音には今も逃げていきますが、お客さまの顔に近付いて覗き込んだり、バッグに頭を突っ込んだりと大胆な行動もします」

印象深い出来事もありました。

「迎えて2週間くらいの頃、まだ小さな子猫だったかつおが3、4cmほどの巨大ゴキブリを仕留めてくれたんです。ちんまりと香箱座りをしていた姿に『これは一生敵わない存在だ』と心底思いました」

子どもの頃からの夢、そして家族の気持ちの変化を経て出会ったかつおちゃん。ツンデレな仕草も、時に頼もしい姿も、すべてがかけがえのない日常になっています。

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)