コンセプトやキャッチコピーを定めることが商売繁盛の常道。小売り店の店先で「〇〇産の〇〇使用!」とか「〇年連続〇〇賞受賞」と表示すると、客の反応が増すように、夜のお店が軒を連ねる歓楽街でも同じことが言えます。
昔から人気が高く、定番ジャンルとして浸透したのが「人妻・奥様・若奥様」系です。これらの肩書がつくキャストさんはごまんといますが、お客さんとしては「どこまで本当なのか」と疑問に感じるでしょう。
ぶっちゃけると、この界隈のガチ奥様は20%以下です。そのほかは“それっぽく見える”などの少々強引な理由で、既婚者設定を強いられるのでした。
■夜のお店の「奥さん」は本物率20%以下
風俗業界の既婚者キャストは全体の20%以下。人妻店など年齢層の高いお店だと家庭を持つ女性もいるにはいますが、その多くはシングルマザーです。夜の世界では設定を作り上げる、あるいはプロフィールを誇張するのがセオリーのため、嘘も方便が当たり前といえます。
「本物の素人」や「未経験」もキャッチコピーとしては使えるものの、ある程度年齢が上だったり、見た目がお姉さんだと何も知らない&初々しい設定は無理がありますよね。よって、奥さんや人妻系に寄せて肩書をつけていくといった感じなのです。
詳細は後述しますが、シングルマザーでなくともそれっぽく見えたら“妻”扱いを受けることも業界ではよくある話なのです(笑)。本物の奥さんが混ざっているのは、極めてレアケース。1店舗に1人いればラッキーで、反対に全然違う系統のお店にガチ人妻がひっそり在籍するパターンもあり、探し出すのは至難の業と思った方が良さそうです。
■「奥さん」「人妻」の肩書がつきやすい女性の特徴
先に記したように「それっぽく見えたら妻扱い」するのがこの業界のあるあるですが、人妻系の肩書がつく女性の特徴の答えは完全にこれです。でも「妻っぽいって何だ」と疑問に感じる人も多いかと思うので、詳しく説明しましょう。
まず奥さん=落ち着いている=大人の色気のようなイメージが強いため、ガチ既婚者でもパッツン前髪の黒髪ロリなら絶対に妻ウリはさせません。業界歴6年、某店に勤めるA美さん(仮名・32歳)は今まで3店舗を経験しましたが、どこでも見事に“妻”扱いを受けたとか。その理由を尋ねてみると「私、地味顔だからですかね」と少々暗いトーンで答えました(以下『』内、A美さん談)
『私はあまり洋服に興味もなく、髪も染めたことがなく、化粧も濃くない。セールスポイントが見つからない“年上系”の雰囲気なので、スカウトマンには人妻系の店しか紹介されませんでした(笑)これで童顔だったら妻は避けられたんでしょうけど、あいにく実年齢より上に見られまして……。奥さんぽくなくても、私みたいな理由で妻ウリさせられるケースも多いですよ』
どうやら彼女の話によると、若くても人妻の肩書がつく可能性は大いにあるそう。そして大ベテランのお姉様でも、華やかなオーラを纏う人は“美熟女”や“美魔女”などのキャッチフレーズがつき、必ずしも年上=妻ではないと主張します。
『もちろんホンワカした雰囲気とか、母性溢れるキャストが“奥さん”として売り出される例もありますよ。でもこれは全体の半分くらいで、残りは地味とか、身近にいそうとか、若干後ろ向きな理由も……。単価低めの人妻店は、後者のことが多いです。コレ、めっちゃナイショの話ですけど(笑)自分で言ってて、ちょっと悲しくなります』
なんという人妻店の超・裏事情でしょうか。A美さんの体験談によるものなのであくまで一例ですが、上記の理由も潜むということ。肩書もキャストにとっては良かったり、悪かったりなのでしょうね。
働き手にしかわからない裏話を含みましたが、夜の世界とはやはりエンターテイメントで非現実的。嘘といえばそれまでですが、肩書は遊びを盛り上げるためのエッセンスとなり得るのです。要するに、必要不可欠な要素というわけですね。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。

























