食品、日用品、電気代まで…。
目に見えて生活コストが上がる中、「値引き」「セール」への注目度はかつてなく高まっています。特に《半額》には、抗いがたい魔法のような魅力がありますよね。しかし、現実には思わぬ落とし穴もあるようです。
都内在住の会社員・S香さん(30代・女性)が語ってくれたのは、《半額》という言葉に過剰反応してしまう夫のエピソードです。
■「半額の魔力」に取り憑かれた男
「仕事帰りに夕飯の買い物お願いできる?ご飯はあるから、惣菜をいくつか買ってきてほしいんだ」と頼んだある日のこと。夫は満面の笑みで帰宅し、両手いっぱいの袋をドンッとテーブルに置くなり、得意げにこう言いました。
「すごいでしょ、ぜんぶ半額だったんだよ!」
見れば、唐揚げがずらりと4つ。お得用の大きなパック、そのすべてに「半額」という赤いシールが大きく主張しています。S香さんは、それを見て感謝より先に「なんで!?」という感情が湧いてしまったというのです。
「買い物してくれたことは、本当にありがとう、なんですが…明らかに2人じゃ食べきれないのに、なんで同じ唐揚げを4パックも買うの!?って疑問のほうが大きくて。結局、翌日まで持ち越して、それでも消費しきれなくて…一部は泣く泣く廃棄しました。せっかくの半額も、食品ロス&出費2倍になって意味ないじゃん!とツッコミが止まりませんでした」
■夫の「まさかの発言」に冷や汗…
そんな夫の「半額愛」が、ついに暴走したのは先日のこと。夫婦でスーパーに立ち寄ったときの出来事です。
「夫が手にしたのは、お寿司のパック。そのまま、近くにいた店員さんにスッと近づいて言ったんです。『あの、これってまだ半額にならないんですか?』って…!!」
その瞬間、S香さんの背中を冷たい汗が伝いました。いくらなんでも直談判はマナー違反。店員さんは苦笑しつつも「まだですね…」と丁寧に答えてくれたそうです。S香さんはそのあと「恥ずかしいから本当にやめて!」と夫に注意したそうです。
「商品が半額になる瞬間って、運が良ければ居合わせるものじゃないですか。粘って待つならまだしも、聞いちゃうなんて…。夫の半額に対する執念、どこから来てるのか謎です」
■節約は大事。でも“買い方”はもっと大事?
「安さ」よりも「食べきれる量」など、総合的な目線が必要-。それをどう伝えるか、S香さんも日々試行錯誤しているそうです。
「夫の『半額ハンター魂』を否定したくはないんです。だから最近は『これ買ってくれたら嬉しい』ってピンポイントでお願いするようにしています。それでも時々、余計なものまで買ってドヤ顔で帰ってくるんですけどね…」
S香さんは苦笑いをしながらそう締めくくりました。
■店員さん側にはこんな意見も
実は「半額シール」を貼る側=店員さんにも、いろんな思いがあるようです。独自に取材を行い、そんな本音を集めてみました。
・お客さんが「そろそろ割引にならないかな」と棚を見ているときって、なんとなく気配でわかるんですよね。で、いざ《割引シール》を貼るときに『お、来た来た!』っていう空気が起こる。あの瞬間が、ちょっとクセになってたりして…。本当はただの作業なんですけどね(笑)。(スーパー勤務・Yさん・40代女性)
・割引シールに対する「執着」がすごい人がいますね。忙しいとき、うっかり一部の商品に割引シールを貼り忘れてしまったことがあって…。お客様から「さっき、あなた割引シール貼ってたよね?これも同じやつだから値引きでしょ?」と詰め寄られて冷や汗。「失礼しました」と貼らせていただいたんですが「もう!言わなきゃソンするとこだった」と捨てゼリフを吐かれ、自分のミスではあるんですが、ちょっと辛かったです…。(百貨店食料品売場勤務・Cさん・50代男性)
◇ ◇
節約は、暮らしを守るための大切な知恵。けれど「安ければ正解」と思い込んでしまうと、かえって無駄が生まれることもあります。
お得に目がないのは誰しも同じ。でも、本当に賢い買い物とは、ただ単に安くなってるものを買うことではなく、買った商品を「どう使うか」まで見通すことかもしれませんね。
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◆はいどろ漫画 日常の事件や、身近なスカッと話をお届け!【はいどろ漫画】のInstagramで連載漫画を描いてます。

























