窓辺で寄り添う(左から)月ちゃん、テトくん(画像提供:たちつてとさん)
窓辺で寄り添う(左から)月ちゃん、テトくん(画像提供:たちつてとさん)

キジ白猫の「テト」くん(3歳・男の子)と、茶白猫の「月」ちゃん(3歳・女の子)は、血のつながった兄妹。Xユーザー・たちつてとさん(@tachitsuteto_22)家族の一員として暮らしています。

きっかけは友人からの一本の連絡でした。「職場の人が子猫の里親を探している」という内容に心を動かされた飼い主さん。当時、ちょうど戸建てに引っ越し「猫と暮らしたい」と考えていたこともあり、話を聞いてみることにしました。

「妊娠中の母猫が玄関前に捨てられていて、軒下で保護したと聞きました。無事に出産したものの、保護主さんには事情があってお世話が難しく、子猫の里親を探していたんです」

実際に子猫を見に行った飼い主さんは、その愛らしさと過酷な飼育環境に胸を打たれました。野良猫やカラスが周囲にいる危険な軒下での暮らしに、迷わず引き取りを決意したのです。

「本当は1匹だけ迎えるつもりでした。発育がよく自立できそうな生後1カ月の子を選んで、テトと名付けました」

■テトくんと絆を深める日々ーー新たな決断

初めての猫との暮らしに戸惑いながらも、テトくんはとても賢く、甘えん坊で順応性も抜群。愛情が日に日に深まっていくなか、飼い主さんの心には「残された兄妹猫や母猫も幸せにしてあげたい」という思いが芽生えました。

「茶白の子猫たちは目ヤニがひどく、汚れた顔で里親も見つからずに困っていると聞きました。そこで、我が家で治療しながら里親を探すことを提案しました。すると、費用は出すのでお願いしますと依頼され、4匹を一時的に預かることになったんです」

約1カ月の治療を経て子猫たちは回復。新しい家族を探し始めた矢先、飼い主さんはもう1匹を迎える決断をします。

「夫が最初から特に可愛がっていたのが月ちゃんでした。生後2カ月ほどで我が家に来ることになり、正式に家族の一員になったんです」

■兄弟で支え合い、日に日に元気に

テトくんは車の中でもゴロゴロ喉を鳴らすほど順応性が高く、1日目から一緒に寝てくれる大物ぶり。月ちゃんは保護当初、目ヤニや鼻水がひどく痩せていましたが、人懐っこさをすぐに見せてくれました。

「男の子2匹と女の子2匹でしたが、月ちゃんは体が小さくてご飯も少しずつしか食べられませんでした。それでも兄妹を守ろうとシャーシャー威嚇していたのが印象的でした。でも10分ほどで懐いてくれて、人のあとをついて回るようになったんです」

その後も兄妹猫たちと遊びながら、月ちゃんは人の手を好み、お膝が大好きな甘えん坊に成長。やんちゃなテトくんの噛み癖も、月ちゃんが叱ってくれたおかげで早く治まったといいます。

しかし、猫風邪の隔離期間を経て再会した際、テトくんは仲間にうまく馴染めず、ストレスで便秘になるほど落ち込んでしまいました。

「そんなとき、月ちゃんがひとりでお昼寝していたテトの隣に寄り添って添い寝したんです。その日からテトも兄妹と一緒に遊べるようになり、元気を取り戻しました」

大きな台風で停電や警報音が鳴り響いた日々も、2匹が寄り添う姿に癒やされたと飼い主さんは振り返ります。

■個性あふれる兄妹猫の魅力、家族はメロメロに

成長した月ちゃんは、マイペースで甘え上手。顎ひげのような長い毛がチャームポイントで、飼い主さんいわく「猫界の多部未華子」。雷が怖い夜にはあざとくご主人のもとへ行くことも。

「名前はまだ覚えていないかもしれませんが、『ご飯』と『遊ぶ』『オヤツ』の単語だけは完璧に理解しています」

一方のテトくんは“デレ強めのツンデレ”タイプ。普段はクールでも、飼い主とふたりきりになると全力で甘えてきます。

「喧嘩していると心配そうに走ってきて、私たちの間にゴキブリの死体をそっと置いたことがありました。仲直りさせようとしてくれたんだと思います」

フォロワーから「佐藤健に似ている」と言われたことをきっかけに、テトくんは「猫界の佐藤健」を名乗るようになったそうです。

■かけがえのない兄妹への想い

「生まれてきてくれてありがとう。うちの子になってくれてありがとう。兄妹仲良く過ごしてくれてありがとう」

そう語る飼い主さん。去勢や避妊手術を行ったことで「これほど素晴らしいDNAが残せないのは人類の損失かもしれない」と思うほど、2匹に夢中だといいます。

「テトと月のおかげで笑いが絶えません。最後の最後まで一緒にいたいし、1日でも長生きしてほしいです。楽しいや美味しいをたくさん経験させてあげたい。奇跡的に可愛い末代を、看取る覚悟でいます」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)