どんなに仲が良い親友であっても、大切な我が子であっても、自分以外の人の気持ちはすべて理解することはできません。笑っていても泣いていても、その奥にある本当の感情は本人にしかわからないことも多いものです。漫画家の石森なこさんの作品『誰もわからないよ、あなたのこと』は、そんな心の世界を丁寧に描いています。
同作は「誰もわからないよ、あなたのこと」という印象的な言葉から始まります。たしかに生まれ持った体の特徴はみんなバラバラで、アレルギーがある人もいれば、少食、大食い、慎重、冷え性などの人もいます。
また育った環境や両親との接し方もそれぞれ違います。一人っ子で育った人も大家族の中で育った人、ひとり親や厳しいしつけの中で育った人など、特徴はさまざまでしょう。
なので、自分が泣いたり笑ったりしたとしても、その理由は自分以外には誰にも分らないのです。それらの行動をするのにどんな感情があったのかは、自分だけしか知り得ません。
そして、みんなそれぞれ違った人生を歩んでいます。そのため、他人と自分を比べて傷ついたら、自信を失ってしまう必要はなく、わたしはわたしでいてよいのです。
読者からは「本当にそうですね、誰かの物差しで自分を決めなくていいんですよね」「自分さえわかっていれば大丈夫という言葉で、心がスッと軽くなったような気がします」など、賛同の声が多くあがっており、同投稿には2.8万のいいねがついています。そこで作者の石森なこさんに、同作について話を聞きました。
▽他人が自分を100%理解できないのは仕方ない
ーこの作品を描こうと思ったきっかけを教えてください。
私はこれまで一般的に言われる「普通」とは違う生き方をしてきました。時に周りから嫌味や、その人の正義のようなものを押し付けられることがあります。
その人は私と同じ性別で、環境で、体質で同じ経験をしたとして、果たしてその正義通りに生きられるのかな?と思ったことがきっかけです。
ー性格や才能、生まれ育った環境などさまざまなメッセージがありますが、ご自身ではどれが一番心に響きますか?
生まれ育った環境です。生まれた環境で、性格も才能も出来上がるので一番大きいと思います。私がもし関西のチャキチャキのオカンの元に生まれていたら違う性格だっただろうなぁ…、アフリカに生まれていたら…、江戸時代の武士の家に生まれていたら…などとよく考えます。笑
ー最後に、読者へメッセージをお願いいたします。
自分がどう思って、どう行動して、どんな結果になろうと、それはあなただけの物語で他人と違うのは当たり前です。
何不自由なく育ってきた人と、悲しみを抱えながら生きてきた人とでは、物事の感じ方が変わります。代謝が良く筋肉モリモリで健康な人と、自律神経の弱い痩せ型の人とでは、雨が降るだけで気分の差が出てきます。
普段は何でもない顔で歩いている一人ひとりに、それぞれの設定や経験がある。少し寂しいけれど、他人が自分を100%理解できないのは仕方ないことです。逆も然りで。
でも自分だけは自分のことをちゃんと理解してあげて、どんな気分になっても、どんな行動をしても、どんな結果であっても、まるっと受け止めて「よくがんばってる。私は最高だよ」と包み込むことができたら、生きることがとても楽になると思います。
誰かと比べて自分を否定しないで、ありのままで生きて大丈夫なのです。
(海川 まこと/漫画収集家)
























