キジ白の女の子「ひゅう」ちゃんは、Xユーザー・ふみさん(@xAzwizeAQXhHvPi)と暮らす元保護猫です。今ではふっくらとした体つきで穏やかに過ごしていますが、出会った当時は小さく、とても弱々しかったといいます。ほんの数カ月前に愛猫を亡くした飼い主さんにとって、その出会いは“運命の導き”のようでもありました。
■田んぼで駆け寄ってきた小さな影
今から9年前。夕暮れの田んぼ道をウォーキングしていた飼い主さんの耳に、か細い子猫の声が届きました。
「『どこから聞こえてくるんだろう』と周囲を見回していると、10メートルほど離れたところから子猫が一目散に足元へ駆け寄って来ました。それが、生後推定3カ月ほどだったひゅうちゃんです」
突然の出来事に足を止めた飼い主さん。子猫は、助けを求めるように迷いなくそばへ寄ってきました。
「子猫は、人間を怖がって逃げてしまうだろうと思っていたんです。それが、自分から近寄って来たので本当にびっくりしました」
当時、飼い主さんは先住猫を亡くして8カ月。胸に空いた寂しさを抱えながら過ごしていた頃でした。
「ひゅうちゃんを保護することに迷いはありませんでした。すぐに抱き上げ、逃げ出すのを防ぐために空気孔を確保したうえで背負っていたリュックに入れましたが、とてもおとなしかったです。これから一緒に暮らせるのだと思うと胸がいっぱいになりました」
こうしてこの日から、ひゅうちゃんと飼い主さんは家族としての歩みを始めたのです。
■初日から感じた“猫がそばにいる幸せ”
新しい家に連れ帰ったその日。ひゅうちゃんは驚くほど落ち着いていたといいます。
「家に来た初日から、まるでずっとここで暮らしていたかのように落ち着いていました。トイレもすぐ覚えて、夜鳴きもなし。とてもおとなしく、私のそばにぴったりとくっ付いていました」
保護時のひゅうちゃんはノミだらけの状態。すぐに動物病院へ向かい、治療と検査を受けました。
「ノミ取りをしたところ、たくさん取れました。薬をつけてもらい検査してもらいましたが、とくに大きな問題は無し。見た目にも元気そのものだったので、先生からはそれほど心配されることもなかったためホッとしたのを覚えています」
先住猫を失った悲しみで冷えていた飼い主さんの心は、ひゅうちゃんとの暮らしで少しずつ温度を取り戻していきました。
「先住猫が黒猫の男の子だったので、『またいつか黒猫の男の子を…』とこだわっていたのですが、出会った子は黒猫でもなければ男の子でもありませんでした。でも、被毛の色や性別関係なく、猫はそばにいてくれるだけで幸せで楽しいなと思います」
先住猫への思いは変わらないまま、その胸の痛みに寄り添うように、ひゅうちゃんは新しい日々の温かさを運んでくれました。
■弟猫たちを迎えて…今では家の頼れるお姉さん
現在、ひゅうちゃんは9歳。同じく元保護猫のしまちゃん、みやびちゃんと過ごしています。
「あとから迎えた2匹は男の子でとても甘えん坊ですが、ひゅうちゃんはクールな女の子。ひとりで過ごすのが好きなようで、どうやら男の子は苦手な様子。ふだんは、弟猫たちとは距離をとって過ごしていますが、ケンカでは負け知らず。とにかく強いです」
小さく弱々しかった子猫は、今では弟たちをたじろがせる“頼れる姉猫”へと成長しました。
「お迎えしたばかりの子猫時代はずっと走り回っていたな…と、懐かしく思い出すこともあります」
そして今もなお、飼い主さんの胸に色あせず残るひとつの思いーー
「『私のところに来てくれてありがとう』。感謝の気持ちでいっぱいです」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)
























