認知症の親がいろんなものを注文してしまったら…※画像はイメージです(hekikuu/stock.adobe.com/)
認知症の親がいろんなものを注文してしまったら…※画像はイメージです(hekikuu/stock.adobe.com/)

認知症を患う母親のテレビショッピングが止まらず、家族が困っている-。そんな状況をSNSでキャッチして、直接連絡した通販会社「ジャパネットたかた」の対応に称賛の声が寄せられている。どうやら認知症による意図せぬ注文に悩む家族は多く、独自に対応しているという。

■ひどい時は月30万円超の購入

きっかけは、認知症の母親を持つ女性のXへの投稿だった。「【悲報】認知症母がジャパネットたかたでのショッピングが止まらず、父ついにテレビの電源プラグを抜く」。

女性によると、母親は父親とともに実家暮らし。認知症による症状で物忘れが激しく、同じことを何十回も繰り返し話すという。「テレビショッピングの注文は、父が見張っていないとほぼ毎日です。ひどいときは月30万ぐらい…。購入品は家電、服飾小物、生活雑貨、食品、サプリなどですね」と説明する。

Xには何気なく、愚痴をつぶやいた。すると、その日のうちにジャパネットたかたのアカウントからDMが届いた。メッセージには「ご家族の皆様におかれましては、大変な状況でいらっしゃることとお察しいたします。もしよろしければ、お母様からの意図しないご注文を未然に防ぐため、今後のお電話やインターネットからのご注文について、制限を設ける対応を承っておりますが、ご希望ございますでしょうか。」と綴られていた。

ジャパネットたかたには、母親が電話した際、家族に確認がいくようにしてもらった。女性は「父は、母がいろんな会社に次々に電話するので『キリがない』と疲れ果てていました。小さな声に目を留めてもらった上に、会社側から寄り添って解決法を提示してくれたことに胸が熱くなりました。父も感謝しています」と話す。

■注文完了後に家族に意思を確認

ジャパネットたかたの受注・お問合せ対応を担当する「ジャパネットコミュニケーションズ」によると、認知症への独自の対応は20年以上前から行っており、家族の状況や気持ちに添って、修正を加えながら統一基準を元に対応しているという。

家族や後見人から依頼があれば、電話での注文受付の完了後に、家族に購入の意思確認の連絡をしたり、電話の入口時点で注文を断る対応をしたりするという。「ご家族様との話し合いを踏まえて対応方針を決定しています。可能な範囲で柔軟に対応しております」とする。

また、購入者の不便や不明点を解消するとともに、サービス・応対品質向上を目的として、SNSアカウントを開設。Xでは「【公式】ジャパネットたかたお客様サポート」というアカウントで自社に関する投稿をチェックしており、今回の対応に繋がったという。

厚生労働省の統計によると、2022年における認知症を患う65歳以上の高齢者は443.2万人(有病率12.3%)、軽度認知障害は558.5万人(有病率15.5%)と推計されている。2040年には、認知症584.2万人(有病率14.9%)、軽度認知障害612.8万人(有病率15.6%)になると推計されている。

(まいどなニュース・山脇 未菜美)