車の売却をする際に相見積もりを取るのはよくあることです。本記事では相見積もりのマナーやトラブルなく車を高く売る方法について解説します。
■相見積もりはマナー違反ではない
車の売却をする際に相見積もりを取ることは、マナー違反ではありません。車の査定額は、売却先によって数十万円もの差が出ることがあります。そのため、相見積もりを取る人は決して少なくありません。買取業者も、相見積もりを取って比較されることに慣れています。
▽進め方や断り方には注意が必要
相見積もりを取ること自体はマナー違反ではありませんが、相見積もりの進め方や断り方には注意が必要です。この点においてマナーを守らないと、買取業者とのトラブルに発展する可能性もあります。
■車買取の相見積もりで守るべきマナー
車買取の相見積もりで守るべきマナーは、以下の3点です。
▽(1)各社に相見積もりだと事前に伝える
見積もりを依頼する際は、事前に相見積もりであることを各社に伝えましょう。「自社だけに依頼していると思っていたのに断られた」「査定現場に他社がいた」といった事態になると、買取業者も戸惑います。
冒頭で触れたようにに、相見積もりを取ること自体は全く問題のない行為です。相見積もりだと伝えれば、買取業者が高めの査定額を提示してくれる可能性もあります。
▽(2)他社の査定額を明かさない
相見積もりをすると業者に「他社の査定額はいくらだったか」と聞かれることがありますが、安易に答えるのは避けましょう。これは、他の買取業者を踏み台にし、査定の公平性を損ねる行為です。
また、他社の査定額を提示しても、必ずしも車が高く売れるとは限りません。最初の査定額が安ければ、他社もそれに合わせて査定額を低めに出す可能性があります。
▽(3)買取先を決めたら全社に連絡する
買取先を決めたら、他社には必ず断りの連絡を入れましょう。多くの買取業者は無料で査定を行っており、時間や労力をかけています。だからこそ、断りの連絡を入れながらお礼を伝えることがマナーです。
たとえ自分から連絡をしなくても、業者から連絡がくる可能性は高いです。しかし、その手間をかけさせる前に自分から断りを入れた方が、業者側も気持ちよく過ごせます。
■マナー以外で注意すべきポイント
買取業者とのトラブルを避けながら、より高い金額で車を売却するために、車のオーナーは以下の点にも注意しましょう。
▽(1)同じ条件で査定を行う
相見積もりを取る際は、走行距離や装備などの条件をできるだけ揃えましょう。たとえば1週間ずらして見積もりを取ると、その間に走行距離が大きく伸びたり、キズが付いたりして、車の価値が変わるかもしれません。また、最終的な売却額は車両の引き渡し方法などによっても変わります。買取額をきちんと見極めるために、査定条件は揃えることが望ましいです。
▽(2)各社の買取条件を文字情報で残す
査定段階では、見積書を出してもらえないことが少なくありません。査定額はあくまで「査定時の車の価値」であり、中古車相場の変動や時間の経過、車両状態によって査定額はどんどん変わるからです。
口頭のやり取りでは聞き間違いの可能性もあるので、査定額やその他の条件(諸費用の有無や契約後の減額の可能性)をメモなどに残しましょう。査定額は、業者の名刺の裏などに書いてもらうことをお勧めします。
▽(3)相見積もり中の即決を避ける
買取業者から「すぐ売却を決めてくれたら〇万円で買い取る」と言われることは少なくありません。しかし、まだ他社の査定を残している状況であれば、即決を控えましょう。
次の業者がより高い査定額を提示する可能性がありますし、そもそも「すぐに決めてくれたら」という謳い文句は他社との比較を避けたいからこそ出るものです。「全社の査定額を見て売却先を決める」と伝えて、その場での即決は断ることをお勧めします。
▽(4)安易に「売る」と言わない
たとえ途中で気に入った買取業者があったとしても、安易に「御社で売ると思います」などと伝えない方が良いです。買取業者が期待してしまいますし、契約確定と勘違いされる可能性もあります。
トラブルを避けるためにも、最終決定する前の段階で買取業者に「売る」と発言するのは控えましょう。
■相見積もりで比較・確認すべき項目
相見積もりで比較すべき項目は、査定額だけではありません。以下でご紹介するポイントを押さえて最終決定しましょう。
▽(1)査定額と諸経費
相見積もりでは、査定額に加えて売却でかかる諸経費(車両運搬費用や手続き代行手数料)も確認してください。たとえ査定額が高くても、諸経費が多くかかれば最終的に受け取れる金額が少なくなります。
▽(2)契約条件
契約条件では、特に以下のポイントを確認しましょう。
・キャンセルはいつまで可能か
・キャンセルした場合に違約金は発生するか
・契約後に減額となる可能性はあるか
キャンセル行為はトラブルの原因になりやすいです。また、査定額の減額があった場合も「他の業者にすれば良かった」となる可能性があります。だからこそ、この3点はしっかり確認してください。
▽(3)買取業者の態度
強気な姿勢で臨んでくる業者だと、トラブルがあった場合に解決が難しくなる可能性があります。また、質問に対して明瞭に回答してくれない業者も避けるべきです。お金に関わることだからこそ、誠実に対応してくれる業者を選びましょう。
▽(4)入金日
入金は、基本的には振り込みで行われます。入金にかかる日数は、業者によって「数日」「1週間」などさまざまです。特に、早めにお金を受け取りたい場合は入金日を確認しておきましょう。
■車を高く売るための相見積もりの手順
ここでは、トラブルを避けながら車を高く売るための相見積もりの手順をご紹介します。
▽(1)事前準備をする
少しでも査定額が上がるよう、事前に車の状態を整えましょう。洗車や車内の掃除、消臭、簡単に消える程度のキズの処置をお勧めします。洗車機の利用などお金をかける必要はなく、自分の手でできる範囲で構いません。
もう一つの事前準備として、愛車の買取相場を調べておきましょう。安く買い叩かれる心配が減り、査定額が低い場合も「相場はこれくらいだった」と交渉できます。
▽(2)業者を数社選んで依頼する
車を高く売る上では複数社での比較が望ましいですが、数を増やすほど労力がかかります。そのため、自分で余裕をもって対応できる範囲(3社程度がおすすめ)で査定を依頼してください。必ず相見積もりであると伝えましょう。
業者選びでは、1社は大手にすることをお勧めします。大手業者は車の販路が豊富で、その分だけ車を高く買い取れることも多いからです。面倒な場合は一括査定サイトを利用し、概算価格の高いところに依頼しましょう。
▽(3)業者に査定をしてもらう
業者とやりとりし、査定に来てもらいます。日時はあらかじめ2~3つ候補を決めておくと良いでしょう。査定時間は30分~1時間、商談も含めて1時間半程度です。
査定の受け方としては、同じ日時・場所で複数の業者に査定してもらう方法と、別々の日時で査定を受ける方法があります。それぞれのメリット/デメリットは次章を確認してください。
▽(4)条件を比較して1社を決める
各社から査定を受け、最終的に1社を選びます。先にご紹介したように、査定額を他の業者に教えたり、相見積もりの途中で即決したりすることは避けることをお勧めします。
ただし、全社を比較して「あの業者が良かったけど、査定額が少し低かった」という場合、「他社から〇万円を提示されている。もう少し査定額を上げられないか」と相談しても構いません。
▽(5)最終確認して契約&他社は断る
価格に納得がいった段階で、契約条件を最終確認して契約を進めましょう。また、売却先を決めた時点で他社にも連絡し、断りを入れるとともに査定実施に対するお礼を伝えましょう。
■同時査定か別々で査定、どっちがいい?
同時査定と別々での査定では、それぞれにメリット/デメリットがあります。自分に合う方を選びましょう。
▽同時査定のメリット/デメリット
【同時査定のメリット】
・時間を節約できる
・同条件で車を見てもらえる
・最後に競わせることができる
【同時査定のデメリット】
・売却を断りづらい
・談合の可能性がある
同時査定であれば、時間や労力を節約できます。また、最後に2社で「先ほどの価格より高くできるか」と競わせることもできます。一方で、「今度そちらに譲るから、今回はうちに決めさせて」などと談合が行われる可能性もゼロではありません。基本的には、時間・労力をかけずに早く売却したい人におすすめです。
▽別々での査定のメリット/デメリット
【別々での査定のメリット】
・談合の可能性が低い
・売却を断りやすい
・1社ずつに時間をかけられる
【別々での査定のデメリット】
・1社ずつ対応が必要
・査定士がしつこい可能性もある
別々で査定すれば、1社ずつ丁寧に対応でき、「見積もりだけ取りたい」という場合も比較的断りやすいです。しかし、査定にあたって自分自身の時間と労力がかかりますし、交渉を粘ってなかなか帰ってくれない査定士もゼロではありません。
基本的には「まだ売るか悩んでいる」「今回は査定だけ」といった人におすすめですが、しっかり断る気持ちも持ちましょう。
■相見積もりでよくある質問
ここでは、相見積もりに関してよくある質問と回答をご紹介します。
▽Q.売却せず査定だけ受けてもいい?
現段階で売却するつもりがなくても、査定だけ受けることは可能です。まだ売却の意思がない場合は、その旨を業者に伝えましょう。
ただし、査定金額はあくまで「査定時の車の価値」を表したものであり、1ヶ月後などに同じ金額で買い取ってもらえるわけではありません。この点は注意が必要です。
▽Q.一括査定はした方がいい?
一括査定は高い買取額を見込みやすいですが、対応する業者の数が増えると自分自身の労力も必要です。一括査定を申し込んだ結果、大量の電話に困惑する人も少なくありません。
時間や電話、営業に対応するだけの余裕があり、その上で高く売りたい人は一括査定を利用すると良いでしょう。
▽Q.他社の査定額を高く伝えたらダメ?
他社の査定額を高く伝えるのは、やめましょう。売買契約においてはお互いの信頼関係も重要ですし、もし相場から外れるような金額を伝えれば、その時点で業者が売却を諦めてしまう可能性があるからです。
(まいどなニュース/norico)
























