海外での生活では、思わず「なぜ?」と感じる文化の違いに出会うことがあります。バリ島在住の漫画家アマットル・キナさんによる作品『独特すぎる!バリ・ヒンドゥー教の洗濯物の干し方』が、SNSで2.4万件を超える「いいね」を集め話題となっています。
それは、作者がバリ島に住み始めたばかりの頃の出来事です。洗濯物を干していたところ、宿のオーナーから「上に干さないで~!」と注意されます。
理由を尋ねると、バリ・ヒンドゥー教では寺院より高い位置に衣類を干すことはタブーとされているためでした。各家庭にある、神様や先祖を祀る「家寺」への配慮だといいます。
さらに、ズボンなど下半身の衣類は下に干す必要があるなど、細かな決まりも存在します。作者は当初戸惑いながらも調べてみると、一度着用した衣類は“清浄ではないもの”と見なされ、神聖な領域(寺院など)より上に置くのは失礼にあたるという考え方を知ります。これは、宇宙を「上・中・下」で捉えるバリ・ヒンドゥー教の思想が、洗濯物の干し方にも反映されているといいます。
一方、ルールの守り方には個人差もあり、規律通りに徹底する人もいれば、そこまで気にしない人もいるそうです。こうした違いについて、作者は信仰の深さに比例するのではないかと感じたといいます。
読者からは「文化だから大事にしたい」や「日本でも神棚や仏間の上にトイレは作らない」など、多くの声が寄せられました。そこで作者のアマットル・キナさんに同作について話を聞きました。
■『初めて知った』という反応が多く驚かれることがよくありました
-同作制作のきっかけは。
この話を旅行でバリ島に来る方などにすると、意外と『初めて知った』という反応が多く、驚かれることがよくありました。 ホテルなどで働くバリの方々は、旅行者がルールを知らないことを理解してくれていますが、中には下着が頭より高い位置に干されているのを見て、内心複雑な思い(もやもや)を抱く人もいるかもしれません。
描くことで、そうした文化のギャップを少しでも減らし、お互いが気持ちよく過ごせるきっかけになればと思い、漫画にすることにしました。
ー興味深いと感じた読者コメントは。
日本でも昔はふんどしを日陰に干していたというお話や、宮中での下着の扱われ方や入浴の仕方、現代でも下層階の神棚には上に『雲』や『天』と貼る文化など、日本との共通点を見出すコメントが多く寄せられたのが非常に興味深かったです。
一方、『飛行機に乗ること自体はいいの?』という矛盾点をついた鋭いツッコミもあり、思わず『確かに…!』と膝を打ちました。バリの友人に会った際、彼らがどう折り合いをつけているのか、ぜひ改めて質問してみたいと思っています(笑)
-バリ島に長く住む中で、今回のような経験はありますか。
バリ島ではヒンドゥー教の祭事が日常に深く根付いていて、祭事の行列が公道を練り歩くことがよくあります。その行列が通る間は、どれほど主要な幹線道路であっても、地元の警備係によって車やバイクが完全にストップさせられ、大渋滞が発生します。
移住したばかりの頃は、この渋滞に捕まると『すごい!』とワクワクして、 煩わしさよりも珍しさや楽しさが勝っていました。今では「お、またやってる」とエンジンを切って、奏でられているガムランを満喫しつつのんびり待つようになりました。急いでいる時以外ですが(笑)
効率やスピードよりも、祈りや伝統を最優先するバリの人々の価値観に、いつの間にかなんの違和感も感じなくなりました。
(海川 まこと/漫画収集家)
























