「かもめ食堂」への思いがにじむ、本やグッズを飾った一角/かもめ子さん(@kamomeko.kurashi)提供
「かもめ食堂」への思いがにじむ、本やグッズを飾った一角/かもめ子さん(@kamomeko.kurashi)提供

築49年、和室2DK、家賃3万5000円。古いアパートの一室を、100均やIKEAのアイテムを駆使しながら自分好みの空間に仕上げた女性のルームツアー動画が、YouTubeで32万回を超える再生数を記録しています。女性が「私の城」と呼ぶその部屋には、「いろんなところに暮らしの工夫があって参考になる」「自分もこんなお城を作りたい」といった声が多く寄せられました。

投稿したのは、日々の生活を映像エッセイとして配信中のYouTubeチャンネル「かもめ子のおひとりさま暮らし」を運営する、かもめ子さん(@kamomeko.kurashi)。映画「かもめ食堂」をバイブルにしているというかもめ子さんは現在37歳、ひとり暮らし。実家から徒歩1分のこのアパートに住み始めて5年になります。

玄関を入ると、ダイソーの棚を活用した下駄箱コーナーがあり、奥に進むとナチュラルな木製のダイニングテーブルを中心に、自作のイラストやカゴのガーランドが壁を飾り、棚には映画と同じものにこだわって集めた北欧食器が並びます。築古のアパートとは思えない、温かみのある空間が広がっていました。

築古ながらウォシュレットや追い焚き機能がそろっていたことも、この部屋を選んだ決め手でした。そのうえで、雰囲気づくりは大掛かりなリノベーションではなく、身近なアイテムの工夫で仕上げています。たとえばキッチン。もともと塗料が剥がれかけた薄緑色の扉でしたが、ダイソーの木目マスキングテープを全面に貼ったところ、木の風合いを感じる見た目に一変しました。

「パッと見たときの印象が大事なので、元の柄がうっすら見えていても気にしません(笑)」

天井照明のない脱衣所にはダイソーのマグネット式ライトを取り付け、玄関ドアの隙間風にはすきま防止シールで対策。築古ならではの不便さを、ひとつずつアイデアで解消しています。

和室は襖を取り払い、二間続きの広々とした空間に。天井からフィンランドの伝統装飾「ヒンメリ」が下がり、北欧デザインの照明が畳に柔らかな光を落とします。寝室はベッドを置かず布団を直接敷くスタイル。

「どこでも寝転がれる安らぎがあり、居心地は抜群です」

部屋づくりの原点にあるのは、適応障害で休職していた時期に出会った映画「かもめ食堂」でした。「疲れた心が救われました」というその作品の世界観を、暮らしの中に取り入れています。劇中のイラストをまねた自作の額絵、映画の象徴であるトピアリー、そして廃盤品も含めネットで探し回って集めた北欧食器。

「前の持ち主が大切に使ってきたものに、今度は私が新しい思い出を重ねていくのがよいのです」

5年住み続けてきたこの部屋について、かもめ子さんは「家賃3万5000円の築古アパートですが、私の『城』です」と語ります。

動画には「気に入っているものに囲まれ、大切に生活されていますね」といった声が多く寄せられました。かもめ子さんは最後にこう話しています。

「収入に見合う生活で十分なのです。コーヒーを片手に定位置に座って、ぐるっと部屋を見渡す時間が好きです」