車についてしまった傷は、状態によっては自分で消すことができます。その仕上がり具合や、どの程度の対処で良しとするかは人それぞれでしょうが、一度自分で試してみるのも良いかもしれません。
一方で初めから業者に依頼する方がおすすめのケースもあります。本記事では、傷の深さ別の傷の消し方、あわせて業者に依頼した方が良い場合の判断基準と、その場合の費用目安についてもわかりやすく解説します。
■車の傷の状態別、消し方の対応方法
車についてしまった傷は、傷の深さや状態によって大きく4つに分けられます。傷の深さ・状態によって使う道具や直す難度も変わってくるので最初に押さえておきたい点です。
・洗車傷・磨き傷
・擦り傷
・線傷・ひっかき傷
・ガリ傷
▽洗車傷・磨き傷の概要
洗車傷・磨き傷は光の当たり方などによってボディ表面に見える、薄く広い範囲にわたって見える傷です。
ボディのクリア層の表面についた浅い傷なので、触っても傷の有無までは分かりづらいです。ブラックやネイビーなど濃い色の車ほど目立ちやすい傷です。
▽擦り傷の概要
擦り傷は、塗装の表面にぶつけた相手の塗料などが付着したような薄い傷を指します。白っぽく薄く、広範囲にわたって傷がついていることが多いです。
見た目のわりには、簡単な処置で目立たなくなるケースもあるのが擦り傷の特徴です。
▽線傷・ひっかき傷の概要
線傷・ひっかき傷は髪の毛ほどの太さで、白い一本筋の傷です。爪や指の腹で触れると、傷に引っかかりを感じます。水をかけたときに一瞬、線傷が見えなくなる(目立たなくなる)ような深さの傷です。
▽ガリ傷の概要
ガリ傷はボディ表面にささくれができるような傷で、バンパーであれば素地が見えるような状態になっていることがあります。ボディ本体であれば下地塗装や地金までが露出しており、凹みなども伴っていることが多いです。
■車の傷消しに使用するグッズ一覧
上から順に、傷の浅いものに対応する傷消しに有効なグッズです。タッチアップペン以下のものは、線傷より深い傷に使うグッズです。
それぞれのグッズの使用方法は、傷の状態ごとに分けて後ほどくわしく解説します。
・ワックス
・コンパウンド(粗目、目消しなど)
・コンパウンド(極細目、仕上げ用など)
・タッチアップペン
・紙やすり、耐水ペーパー
・パテ
・カラースプレー
・クリアスプレー
また、傷消しの作業を行う前には、洗車をして車をきれいにしておくのがベストです。そのため、洗車グッズ(カーシャンプー、洗車用スポンジ、クロスなど)も一式用意しておくのが、おすすめです。
クロスは洗車後の拭きあげだけでなく、コンパウンドをつけてボディを磨くためにも有効なので、複数枚用意しておくと便利です。
そのほか、下地処理剤や養生材など、以下のようなグッズがあると、さらに便利です。
・シリコンオフ
・マスキングテープ
・ミッチャクロン
・プラサフ
・マスカ
■傷の修理を自分でやるか業者に依頼するかの判断基準
車の傷の修理を自分でやるのは、部分的な線傷やひっかき傷までにするのがいいでしょう。一般的に多くの人が自分で修理・傷消しできて、なおかつ仕上がりに許容できるラインは、コンパウンドで磨いて取れる擦り傷や、タッチアップペンを使って目立たなくできるような小さな傷です。
同じ線傷でも、たとえばドアパネル1枚分あるような範囲の広い(長い)傷は、修復跡が目立つので、あまり自分でやるのはおすすめしません。
基本的にコンパウンドで磨いて取れる擦り傷以外は、どうしても近くで見ると修理していることが分かってしまいます。
まず第一に、どの程度の仕上がりであれば自分自身が納得できるかが、判断基準においては重要なポイントです。
■【薄い擦り傷の修理】おすすめグッズと作業手順
ここでは傷消し効果のある「ワックス」を使用して「洗車傷・磨き傷」を直す場合について解説します。次章で「コンパウンド」を使用して「擦り傷」を直す場合について解説します。
ワックスは細かなキズを埋めながら表面をコーティングするので、クリア層にできた微細な傷を目立たなくします。
広範囲に使うことができ、作業も簡単なので初心者でも扱いやすいです。多くの商品で濃色(ブラック)用、淡色(ホワイト)用、メタリック・パールカラー用…というように、ボディカラーによってラインナップが分かれているので、ご自身のボディカラーに適したものを選びましょう。
▽洗車傷・磨き傷を消す際の手順
洗車後に付属のスポンジやクロスを使って、ワックスを塗り込みます。艶が出るまで、しっかり磨き込むのがポイントです。
ドア1枚分、ボンネット半分ずつ…のように範囲を決め、範囲内を縦向きで磨いた後に、横方向に磨くというようにルーティーンを決めると、効率よく作業ができます。
ワックスの種類によって拭き取りが不要のものもあれば、塗り込んだ後に仕上げとしてきれいなクロスを使って、余分なワックスを拭き取る必要があるものもあります。
■【擦り傷の修理】おすすめのグッズと手順
コンパウンドを使用して、擦り傷を直す場合について解説します。
表面が白っぽくなった擦り傷や、ぶつけた対象物の塗料が付着したような擦り傷は、コンパウンドを使って磨くことで目立たなくすることができます。
また、薄い線傷を消す場合にも、こちらをご参照ください。
コンパウンドは粒子のサイズによって細目や粗目といった種類があり、傷によって使い分けることで作業効率を高めることができます。
こちらの商品は、粒子のサイズが異なる3種類のコンパウンドが少量ずつと、磨きに使うスポンジが入っています。
また、スポンジにつけると、そのまますぐに磨くことができる液体コンパウンドとなっているので、誰でも扱いやすいセット商品となっています。
▽擦り傷を直す際の手順
・作業手順(1)
洗車を行う。
・作業手順(2)
スポンジに1平方センチメートル(硬貨1枚分)の「キズ消し用コンパウンド」を出し、縦方向と横方向の直線的に数往復ずつ研磨します。
一度に磨く範囲は、20~30cm四方を目安にします。傷の除去の進み具合に応じて、上記を繰り返します。
・作業手順(3)
研磨後、クロスでコンパウンドを拭きとり傷の状態を確認する。
傷がまだ消えそうな余地があれば、「キズ消し用コンパウンド」を使って作業手順(2)を繰り返します。
・作業手順(4)
傷が消えていれば磨き跡を消すために「仕上げ用コンパウンド」を使って、作業手順(2)と同様の流れで研磨する。
・作業手順(5)
「超鏡面用コンパウンド」を使って、さらに塗装面を美しく仕上げていく。
研磨終了後は、コーティング剤やワックスを使用して塗装面を保護することを推奨します。
■【ひっかき傷の修理】おすすめグッズと手順
ボディのカラー層にまでダメージが及んでいるような、線傷やひっかき傷を直す場合にはタッチアップペンが有効です。
タッチアップペンを選ぶときのポイントは、類似色を選ばないことです。必ず専用色のタッチアップペンを購入してください。
白のボディカラーを例に出すと、同じ自動車メーカーの白でもさまざまな種類があり、異なる白系のタッチアップペンを使うと、塗った箇所が本来のボディカラーの白と違うことが、素人目に見てもハッキリと分かります。
専用色のタッチアップペンが見つからない場合は、ディーラーで注文ができるので相談してみましょう。
細かい作業手順を紹介していますが、傷の状態によっては、タッチアップペンで傷の部分を塗るだけでも十分であるケースも多いです。
▽ひっかき傷を直す手順
・作業手順(1)
洗車を行う。
・作業手順(2)
コンパウンドや目の細かい耐水ペーパーで傷の周辺を軽く研磨した後、シリコンオフを使って脱脂する。(タッチアップペンの密着性を高めるため)
・作業手順(3)
傷の周りにマスキングテープを貼り、テープの間を埋めるようにタッチアップペンで塗っていく。
タッチアップペンで塗ったところは乾燥すると収縮するので、点を打つようにして丁寧に塗ります。塗る回数も一回でなく「塗る→20分程度乾燥させる→塗る」を数回繰り返します。
・作業手順(4)
1週間程度乾燥させてから、コンパウンドまたは目の細かい耐水ペーパーで研磨します。研磨することでタッチアップペイントした箇所と周囲の境目が目立ちにくくなります。
最後に、必要に応じてコーティング剤やワックスで艶出しをして完了です。
■【ガリ傷の修理】おすすめグッズと手順
ガリ傷は狭い範囲であれば、ひっかき傷を直す方法と同じ手順で修復作業を行います。範囲が広い場合には、カラースプレーを使用します。
▽ガリ傷を直す際のおすすめグッズ
ガリ傷をきれいに直すには、さまざまなグッズを準備する必要があります。ガリ傷を直すにはまず、表面の凹凸を均す必要があります。
粗目の耐水ペーパーはバンパーのささくれを除去したり、パテによる補修をするときの下地作りとして、塗装を剥がすのに使用します。
目の細かい耐水ペーパーはボディ表面の凹凸をならして、調整していくのに使用します。
こちらの商品のように、さまざまな目の粗さの耐水ペーパーがセットになったグッズがおすすめです。
ガリ傷による大きな凹凸を埋めるのに使用するパテは、金属製のボディと樹脂製のバンパーとで使い分ける必要があるので注意してください。
素材が異なることから、それぞれに適した密着しやすいパテが商品ラインナップされているためです。
また、ボディカラーに合わせていくつか種類が分かれているケースもあるので、購入時は注意しましょう。
▽ガリ傷を直す際の手順
仕上がりのクオリティの高さを求めない場合は、紹介している作業手順をすべて行う必要はありません。ここでは、DIYでよりていねいに行う手順を紹介します。
・作業手順(1)
洗車を行う。
・作業手順(2)
傷の深いガリ傷の場合、粗目の耐水ペーパーでボディを磨いて下地を作ります。バンパーでささくれのようなものができている場合には、この工程で除去して表面をならしておきます。
・作業手順(3)
ガリ傷でできた凹みをパテ埋めします。1時間以上置いて硬化させたら、耐水ペーパーを使用してボディとの段差をならします。
・作業手順(4)
コンパウンドを使用して、さらに修理した表面を滑らかに仕上げていく。
・作業手順(5)
周囲にスプレーの液が付着しないように、マスカなどを使用して養生を行う。
・作業手順(6)
塗装の密着力を高めるために、ミッチャクロンを塗布する。この後、プラサフを塗布するので「ミッチャクロン」の使用は任意です。
・作業手順(7)
プラサフを塗布して、補修箇所の防錆効果と塗装の密着性を良くします。
プラサフが乾燥したら耐水ペーパーを使用して、表面が滑らかになるように入念に仕上げます。ここまでの作業の品質が塗装時の仕上がりにも大きく影響します。
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・作業手順(8)
カラースプレーを使用して塗装を行います。必要に応じてクリア塗装も行うと、さらに仕上がりが良くなります。
塗装を1週間ほどかけて完全に乾燥させた後、コンパウンドで磨いて艶を出し、最終の仕上げを行います。
修理した箇所は、ワックスやコーティング剤を塗布して保護することをおすすめします。
▽ガリ傷の修理についての補足
ガリ傷の修理は、手順を見ていただいても分かるように工程数が多く、それに合わせて必要なグッズも多くなります。
また、ガリ傷の補修は範囲が広くなりがちで、なおかつ修理の難易度も高いため、修理した跡が目立ってしまうことも考えられます。
こういった背景から、修理後の仕上がりにある程度のクオリティを求める場合、業者に依頼することをおすすめします。
■車の傷を業者に依頼して直す場合の費用
車の傷を業者に依頼する場合、修理にかかる費用の目安は、スマホや手のひらサイズまでの範囲の擦り傷や線傷・ひっかき傷であれば1.5万円~5万円程度です。
なお、傷の範囲や傷の深さが大きくなるほど修理費用が高くなります。また、同程度の傷であっても、修理箇所の違いやボディカラーの違いによっても費用が異なります。
例えば、ドア1枚分やボンネット1枚分といった1パネルすべてを塗装する必要のある場合や、ガリ傷がありパテによる補修が必要な場合には5万円~10万円程度の修理費用になります。
あくまで目安なので、正確な修理費用が知りたい場合は、板金・塗装工場や整備工場、ディーラーなどで傷の状態を確認してもらって、見積もりをもらうことをおすすめします。
■整備士のまとめ
長く車に乗っていると、車に傷がついてしまうのは付きものです。
コンパウンドで傷消しができるような細かい擦り傷や線傷、タッチアップペンで対処できる小石程度のサイズ感で塗装が欠けたような傷であれば、DIYで作業しても修理後の状態が目立ちにくいので、気軽にチャレンジできるかと思います。
一方で、ガリ傷にまでなると、きれいに修理するのは想像以上に難しく、時間と手間もかかるので、ここが多くの人にとって業者に依頼するかどうかの判断基準となるでしょう。
仕上がりのクオリティの高さを求めないのであれば、自分自身でチャレンジしてみてもいいでしょうが、きれいに直したい場合は業者に依頼することをおすすめします。
(まいどなニュース/norico)























