新潟県長岡市山古志の宿泊施設 「あまやちの湯 」が運営するキャンプ場(「山古志の宿あまやちの湯」さん提供)
新潟県長岡市山古志の宿泊施設 「あまやちの湯 」が運営するキャンプ場(「山古志の宿あまやちの湯」さん提供)

宿泊施設「山古志の宿 あまやちの湯」(新潟県長岡市)が運営するキャンプ場で、水道の蛇口やかまどの網などが大量に盗まれる被害が発生した。

被害が判明したのは、今シーズンの営業再開を目前に控えた5月17日。Xに投稿された“悲報”には驚きと怒りの声が相次ぎ、「山の中でも盗難が起きる時代なのか」と波紋が広がっている。

投稿したのは、同施設の公式Xアカウント「山古志の宿あまやちの湯」(@amayachi4526)。そこには、「炊事場の蛇口と竈門のロストル(薪や鍋を置く網)が全て盗難されてました」と記されていた。

■冬囲いを外した瞬間…「そんなことあるわけないでしょ」

被害について、あまやちの湯の支配人・藤井真寿美さんに話を聞いた。

山古志エリアは豪雪地帯のため、冬の間は施設を“冬囲い”して半年近く閉鎖状態になるという。被害が発覚したのは、その囲いを外し、営業再開の準備を始めたタイミングだった。

藤井さんによると、スタッフから最初に「かまどの網が全部ない」と連絡が入ったという。

「『獣の仕業じゃないです、泥棒です』と言われて。さらに『蛇口も全部ないです』と聞いて、そんなことあるわけないでしょと思いました」

しかし、すぐに送られてきた写真を見て言葉を失ったという。

現場では、炊事場に設置されていた蛇口11個が全てなくなっていた。さらに、かまどに設置されていた鉄製のロストル20枚、網を固定するアングル金具35本も持ち去られていた。

「見事にきれいになくなっていました。本当に驚きました」

■被害総額は7万円以上 「都会の事件だと思っていた」

蛇口だけでも被害額は約7万円。ロストルや金具を含めると、さらに被害は膨らむ見込みだという。

藤井さんは、「こうした盗難は都会で起きるものだと思っていた」と率直な思いを語る。

現場は長岡市中心部から約20キロ離れた山間部。周囲には木々が広がり、鳥の鳴き声しか聞こえないような静かな場所だ。

「あまりに静かで、“鳥の声がうるさくて寝ていられない”と話すお客様もいるほどです。そういう大自然を求めて来てくださる方が多い場所なんです」

ログハウスには被害はなかったものの、営業再開に向けて準備を進めていた最中の出来事に、スタッフ一同が大きな衝撃を受けたという。

■背景に“金属価格の高騰”か 相次ぐ金属盗難に不安の声

警察は窃盗事件として捜査を進めている。

藤井さんによると、業者から「蛇口には銅が含まれていて、高く売れる」と説明を受けたという。

近年は全国各地で、水道メーターや室外機、ケーブルなど金属類を狙った盗難被害が相次いでおり、金属価格の高騰も背景にあるとみられている。今回盗まれた蛇口や鉄製のロストルについても、換金目的だった可能性がある。

Xのリプライ欄にも、「盗むヤツはもちろんだが、それを買う業者にも罰則が必要」「怪しいヤードや買取業者はもっと取り締まるべき」「山奥でも安心できない時代なのか」といった声が寄せられていた。

■「人間を見張るカメラになるとは…」防犯対策も強化へ

これまで施設では、熊対策として簡易カメラの設置を検討していたという。

「熊が出るかもしれないので、獣用のカメラを付けようという話は以前からありました。でも、まさか人間を見張るためになるとは思っていませんでした」

現在は応急処置として蛇口2カ所を設置済み。材料が届き次第、残る設備の復旧工事も進める予定だという。ただ、部材不足の影響もあり、オープンまでに全て揃うかは未定だ。それでも、5月29日の営業開始予定は変更しない方針だ。

「現物でいいから返してほしい、という気持ちです。山の中でも防犯カメラが必要な時代なんだと痛感しました」

豊かな自然に囲まれた静かなキャンプ場で起きた今回の盗難事件。藤井さんは「それでもお客様には安心して来てほしい」と前を向いていた。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)