1年前、テラスに現れたすずめちゃん。じっと見守るコハク8号ちゃん(画像提供:コハク8号のお店屋さん)
1年前、テラスに現れたすずめちゃん。じっと見守るコハク8号ちゃん(画像提供:コハク8号のお店屋さん)

1年前、家の裏のテラスに突然現れた小さな子猫。人には近づけなかったその子が、先住猫には自ら歩み寄り、やがて家の中へと足を踏み入れました。

縞三毛の女の子「すずめ」ちゃんです。出会った当時は生後推定3カ月ほど。現在は、先住の茶トラ猫「コハク8号」ちゃん、あとから家族に加わったサビ猫「あんず」ちゃんと一緒に暮らしています。保護から1年を振り返った動画がInstagramで注目を集めました。

■人には逃げても、先住猫には自ら近づいた

飼い主のママ、コハク8号のお店屋さん(@kohaku8go_nushi)によると、すずめちゃんが裏庭に姿を現したのは2024年10月25日頃のことでした。

人が近づくと逃げてしまうため、ごはんや水、ベッドをテラスに用意したところ、少しずつ食べに来るようになったそうです。

一方、窓越しにその様子を見ていたコハク8号ちゃんには、すずめちゃんのほうから近づき、擦り寄っていったといいます。

飼い主さんは何度も距離を縮め、おやつをあげながら保護を試みましたが、人への警戒心は強く、なかなか捕まえることができませんでした。そこで捕獲器を注文し、保護するための準備を進めていました。

転機が訪れたのは10月28日。窓を開け、猫じゃらしで誘導すると、すずめちゃんが思い切って室内へ入ってきました。その瞬間、無事に保護することができたそうです。

ただ、突然知らない場所へ入ったすずめちゃんは大パニック。網戸をよじ登り、家の中を逃げ回りました。飼い主さんも素手で捕まえようとして強く噛まれ、流血したといいます。最後にはお湯を張った浴槽へ飛び込み、その後、ダンボール箱へ入ってくれました。

病院で診てもらった際には、獣医師から「この子、カエルを食べていましたね」と告げられたそうです。小さな体で外を生き抜いてきたことを知り、飼い主さんは胸を痛めました。

当初は、人に慣れてくれるのか不安もあったといいます。それでも、すずめちゃんは飼い主さんには少しずつ心を開き、コハク8号ちゃんには最初から自ら近寄っていました。なぜか自宅の裏庭へやって来て、コハク8号ちゃんに引き寄せられるように近づいた姿に、飼い主さん一家は運命的な縁を感じたそう。「保護猫を迎えよう」と考えていたのではなく、「この子が我が家を見つけて来てくれた」と感じたことから、里親を探さず、そのまま家族として迎えることを決めました。

■優しく見守る先住猫に心を開いたすずめちゃん

突然の保護だったため、家には子猫を迎える準備がなく、初日は段ボール箱を寝床にしました。

ところが、すずめちゃんは鳴き続けたり暴れたりすることはなかったそうです。コハク8号ちゃんが子猫時代に使っていたふかふかのベッドを箱の中へ入れると、安心したようにその上で眠りました。

さらに飼い主さんを驚かせたのが、コハク8号ちゃんの行動でした。すずめちゃんが入った段ボール箱の上で、静かに眠っていたのです。保護するまでは先住猫とうまく暮らしていけるか心配していましたが、その光景を見た瞬間、「この子ならきっと大丈夫。家族になれる」と自然に思えたことを、今でもよく覚えているといいます。

一緒に暮らすようになってからも、すずめちゃんには慎重な一面が残っています。そのため、家の中には安心して身を隠せる場所をいくつも用意しました。動物病院へ行った日には、帰宅してから9時間ほど隠れ家から出てこないこともあるそうです。それでも飼い主さんは、それがすずめちゃんにとって落ち着ける過ごし方なのだと受け止めています。

好きなタイミングで出てきて、ごはんを食べ、眠くなればお気に入りの場所へ。甘えに来るのは1日に1回ほどで、「ママ、撫でて」と言うように少し甘えると、満足した様子で再び自分の時間へ戻っていくといいます。そんなひとときに、飼い主さんは「今日はスーパーレアキャラに会えた!」とうれしくなるのだとか。無理に距離を縮めるのではなく、すずめちゃん自身のペースを尊重しています。

■2匹の同居猫と寄り添い過ごす日々

現在のすずめちゃんは、とても優しく繊細な性格の女の子。人や環境の変化には慎重ですが、落ち着ける状況では、自分のリズムでのびのびと過ごしています。

今も甘えに来るのは1日に1回ほど。その短い時間を、飼い主さん一家も大切にしています。

そして、大好きなコハク8号ちゃんとの関係も変わりません。気がつけば隣で眠り、一緒に過ごしていることも。あとから仲間入りしたあんずちゃんとも、飼い主さんが「本当の兄妹のよう」と感じるほど自然に過ごし、3匹で寄り添う姿も見られるようになりました。

保護当初は「この子は人に慣れてくれるだろうか」「幸せになれるだろうか」と心配していた飼い主さん。しかし今では、警戒心が強いことも、隠れるのが好きなことも、甘える時間が限られていることも、すべてがすずめちゃんらしさだと考えています。

もし言葉を伝えられるなら、「我が家を見つけてくれてありがとう。勇気を出して裏庭へ来てくれたあの日から、毎日たくさんの幸せをもらっています。これからも、すずめのペースのままで、ずっと一緒に暮らしていこうね」と伝えたいと飼い主さんは語ります。

小さな決断から始まった縁は、時を重ねて確かなつながりへ。互いのリズムを尊重しながら寄り添う姿に、やわらかなぬくもりがにじんでいます。

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)