女性の管理職や役員への登用は、企業の重要なテーマの一つとなっています。株式会社帝国データバンク(東京都港区)は14回目となる「女性登用に対する企業の意識調査(2026年)」の結果を発表しました。それによると、女性管理職および女性役員の平均割合が、いずれも過去最高を更新しました。しかし、その裏では登用が進む企業と進まない企業の二極化や、企業規模による見通しの乖離といった課題も依然として存在していることがわかりました。
調査は、2026年7月にインターネットで実施され、有効回答企業数は1万518社でした。
「自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合」を尋ねたところ、「30%以上」(11.8%、前年比0.1pt減)、「20%以上30%未満」(7.1%、同0.7pt増)、「10%以上20%未満」(9.5%、同0.4pt減)が上位となり、女性管理職の平均割合は11.3%(前年比0.2pt増)で、過去最高を更新しました。
女性管理職が2割台の企業が増えた一方で、「30%以上」の企業はわずかに減少するなど、高水準での拡大には足踏みも見られます。
特に大きな課題として残るのが、女性管理職が「0%」の企業が42.1%と依然として4割を超えている点です。小規模企業などでは「社員数が少なく、管理職ポスト自体が限定的であるため登用が難しい」といった声も聞かれ、裾野の拡大が引き続きのテーマとなっています。
企業規模別に女性管理職の割合を見ると、意外にも平均割合そのものは「小規模企業」(13.9%、前年比0.4pt減)が最も高く、「大企業」(8.9%、同0.6pt増)では1割を下回っています。
業界別では、「小売」(19.5%)、「不動産」(18.7%)、「サービス」(15.5%)といった業界で高くなった一方、「建設」(7.0%)や「製造」(8.2%)、「運輸・倉庫」(8.6%)ではいずれも1割を下回りました。
この背景として、現場経験重視の昇進経路や、不規則・身体的負担のある業務環境などから、候補者となる女性人材そのものが限られていることが影響していると考えられます。とりわけ建設業では、企業から「女性がいないため、採用したくても適任者に巡り合えていない」「事務職以外での採用が難しい」などの声も寄せられました。
他方、「自社の役員に占める女性の平均割合」は14.2%(前年比0.4pt増)となり、こちらも過去最高を記録し、「30%以上」(19.5%、前年比0.4pt増)や「20%以上30%未満」(8.5%、同0.6pt増)など、女性役員がいる企業の割合は45.5%に達しています。
女性役員の登用を進める企業が増える一方で、「女性役員ゼロ」(前年比0.6pt減)の企業は51.5%と半数以上を占めており、「女性の役員就任に向けて動いている」(農・林・水産)や「女性の職域を事務職から総合職や営業職へ広げ、役職者への登用も進めている」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)など、具体的な登用動きを進める企業がある一方で、全体としては緩やかな変化にとどまっています。
また、「女性管理職・役員の増加見通し」については、女性管理職が「増加する」は29.6%、「変わらない」が43.8%、女性役員が「増加する」は10.8%、「変わらない」は57.3%と、女性役員の増加を見込む企業は1割にとどまり、経営層への登用には慎重姿勢がうかがえます。
女性管理職が「増加する」とした割合を従業員数別にみると、「5人以下」(15.3%)から従業員数が多くなるにつれて上昇し、「301~1000人」で59.7%、「1000人超」では72.5%となりました。
女性役員については、「5人以下」が10.6%、「6~20人」が10.1%、「21~50人」が9.5%、「51~100人」が10.6%、「101~300人」が11.1%と、300人以下ではおおむね1割前後だったのに対し、「301~1000人」では19.8%、「1000人超」では33.0%に上昇しているものの、「1000人超」でも3社に1社にとどまっています。
上場企業と非上場企業の間でも差が表れ、上場企業で62.9%となり、非上場企業の29.0%を33.9pt上回ったほか、女性役員も上場企業が30.9%と、非上場企業の10.4%を20.5pt上回りました。
採用枠やポストが多く体制を整えやすい大企業や上場企業を中心に登用が進む一方で、中小・小規模企業では組織構成の変化が起きにくい実情が浮き彫りになっています。
次に、「女性の活躍推進のために行っていること」を尋ねたところ、「性別に関わらず成果で評価」(64.2%)、「性別に関わらず配置・配属」(53.8%)、「女性の育児・介護休業の取り組み推進」(34.0%)など、性別に関わらないフラットな制度運用が上位を占めました。
一方で、「キャリア開発・育成の充実」(7.1%)、「女性管理職の数値目標を設定」(3.5%)、「キャリアに関するモデルケースを提示」(2.6%)といった、より踏み込んだ育成・キャリア支援施策の実施割合は低水準にとどまり、成果による評価や配置・配属といった「公平な人事運用」は比較的多くの企業で行われている一方、女性が将来的に管理職や役員を目指すための育成やキャリア形成を具体的に支援する取り組みは、まだ少ない状況です。
女性の活躍をさらに広げるためには、単に女性管理職や役員の「人数」や「割合」を増やすだけでなく、管理職候補となる人材を育て、重要な仕事を経験できる機会を増やすなど、昇進につながるキャリア形成を長期的に支援することが重要になりそうです。























