元セクシー女優のフリーライター・たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター・たかなし亜妖

元セクシー女優の筆者ですが、昔に少しだけミニクラブに近いスナックでバイトをしていました。スナックと呼ぶにはマナーも服装も厳しく、ママの強いこだわりが見られるお店だったことを今でも覚えています。そこにはクセの強い男性客がよく来ていました。

彼(以下、Nさん)は、毎日1組、2組程度しか来店しないお店に毎日訪れ、しかも席に着くや否や「俺はママにしか興味がないから」と強く主張し、女の子たちを困らせていました。そんなNさんの思い出を振り返りましょう。

■オープン前から店にいる皆勤賞は、ガチ恋客の典型例だった

Nさんは当時40代半ばのエリートサラリーマンで、お店の常連客です。私が面接に行った時も来店していました。なんならオープン時間よりも前に来店し、ママとスタッフの開店作業を見守ることも珍しくはなかったのです。

さらに閉店時間を過ぎても帰ることはなく、バイトスタッフよりも店にいる時間は確実に長いと思いました(笑)

そもそもオープン前の来店を許可しているのに私は驚いたのですが、小規模の飲み屋は全てママ次第ですから、ママが許可すればなんでもOKになってしまうのです。大がつくほどの常連だったNさんはお店で唯一、このルール違反な動きが許されていました。

彼は俗に言う“ガチ恋客”で、ママがトイプードルを飼い始めたら、全く同じ犬種+色の子犬をお迎えする始末。意中の相手が好きと言ったら自分も右へ倣えをするタイプは、とにかく尽くすのが好きなのです。

私が初出勤し、挨拶のために席に着くと開口一番「あ、オレはママにしか興味がないからね」といって会話が続きません。ママは「出勤を続けていればちゃんと話してくれるようになるから」と言いますが、やりづらさはMAXです。

ヘルプのスタッフは自分含めてたったの3人なので、「ママ以外興味ないのならわざわざヘルプつける必要あるか?」なんて思ったものの……。とにかく来店が少ないため、着ける席も結局ここしかありません(笑)

ある日、たまたま4組くらい来店する日があり、私とNさんのマンツーマン接客になってしまう時間が発生しました。やりづらさを感じながら一生懸命話しかけると、ようやく会話に応じてくれます。

しかし彼が口にするのは「いかにママが好きか」や、「ママに惚れたポイント」ばかり。「ダムが決壊したのか?」と疑いたくなるくらいにバババーッ!と喋り出し、あまりの勢いにこちらも内心引きまくり。「常連といえど、クセが強い客を大事にする店って、大丈夫?」と不安になった結果、勤めて1カ月くらいで退職の旨を申し出るのでした。

■ガチ恋常連客に頼らざるを得ないキビしさ

たったのひと月しか店にはいなかったけれど、バイトは週3日程度だったので約12日間出勤したことになります。この日数でも“ヤバいと思ったポイント”は複数あり……と、いうか、序盤から怪しさ全開だった点は拭えません。

週末以外はママ+ヘルプ1名で店を回すため、ママともNさんとも過ごす時間が長いのです(笑)おまけにママはNさんがいない時のオープン前や締め作業の後に度々本音を吐露するのです。たとえば「私、あの人のことはお客さんとしか思っていないからね。好きでも何でもないわよ」や「この年齢までお店やってて年々売り上げが下がってて、不安しかないの」、さらには「Nさんも、まぁすごいなって目で見てる。でも色々助けてもらってるから……」という回答しにくい話題が多いのです。

これらの会話から、お店の収入の柱がNさんであることを察しました。だからこそルール外の行為を許可したり、オーラス(オープンラストの略)で滞在しても尚、ママがアフターに付き合うのでしょう。かなりの労力ですが、Nさんなしでは店も生活も回らないくらいキビしいのだと思います。

入って1週間ちょっとでなぜか私は愚痴聞き役になり、Nさんからの当たりも強いしでサッサとやめてしまったのですが。現在も縮小しつつ、このお店は存続しているようです。

お店のSNSを覗いてみたら、今でもNさんであろう顔をモザイクにしたお客様写真が……。まだママは彼に頼り切っている生活なのでしょうか。少し気になるような、でも聞きたくないような、何とも言えない気持ちです。

◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。