だれやねん(イゴカオリさん提供)
だれやねん(イゴカオリさん提供)

猫と暮らしたことがない人でも、1度は「猫のいる生活をしてみたい」と思うことがあるでしょう。警戒していた猫が少しずつ心を開いてくれると、その変化がうれしく感じられます。漫画家・イゴカオリさんの作品『ネコと暮らした9日間』では、友人の留守中に2匹の猫のお世話をすることになり、少しずつ距離を縮めていった体験談が描かれ、話題となっています。

ある日、作者は友人から、自身がアメリカに行っている間、2匹の兄弟猫のお世話をしてほしいと頼まれます。友人はペットシッターを頼むことも考えていたため、断ろうと思えば断ることもできました。それでも作者は、「猫のいる暮らしを体験してみたい」という思いから、申し出を受けることにします。

こうして作者は、猫の春まきとくろごまと一緒に暮らす生活を始めることに。初日、突然やってきた作者に、2匹は戸惑っている様子を見せます。警戒されながらも、餌をあげるときに工夫したり、なるべく自然に振る舞ったりしているうちに、春まきを撫でることに成功するのでした。

一方で、くろごまとはなかなか距離を縮めることができません。しかし、寝る前になってベッドの上にくろごまを発見します。鼻にそっと手を近づけるなど工夫をしながら距離を縮めていくと、念願だったくろごまとのスキンシップにも成功するのでした。この満足感とともに1日目が終了すると思いきや、なんと猫たちは夜行性のため、夜になると元気に動き回り、作者は寝不足のまま2日目の朝を迎えることになります。

そんな2日目、ソファでくつろいでいた春まきの隣に座り撫でていると、作者がひそかに願っていたことが起こります。それは、春まきが膝の上に乗ってくれることです。さらに、くろごまも通りすがりに足へ体を擦り付けてくるようになり、作者は2匹との距離は少しずつ縮まったことを実感します。

そして3日目の朝には、さらなる距離の近づきを体験することに。それは作者が寝返りを打ったときのことです。足に何かが触れたことに気づき足元を見てみると、そこにはなんと、くろごまが寝ていました。

朝一番からくろごまを撫でることができ「幸先がいい」と喜んでいると、今度は仕事をしている作者の腕を春まきがぺろぺろと舐めてきます。ネットで意味を調べてみると、どうやら猫が舐めるのは親愛の気持ちを表すこともあるようです。

そのことを知った作者は、思わず心をときめかせます。さらにその日は、初めて春まきのゴロゴロという音を聞くことができました。うれしくなった作者が春まきを撫で続けていると、気づけば1時間が経っています。こうして作者は猫沼にどっぷりと浸かっていくのでした。

読者からは「猫沼にようこそ」「9日間のトライアル羨ましすぎます!」など、さまざまな声があがっています。そんな同作について、作者のイゴカオリさんに話を聞きました。

■少しずつ縮まっていった猫たちとの距離

ー猫のいる暮らしを体験してみたかったとのことですが、ネコとの暮らしに興味を持たれたきっかけは?

実は今、猫を題材にしたオリジナル漫画を商業で描く予定なので、「猫のお世話をしないか」という友人からの提案は、私にとって非常にタイムリーなお話でした。作品を作るにあたって、猫を飼うってどんな感じなのか実感を知りたい気持ちもありましたし、期間限定で猫と暮らすって面白そうだなという個人的な興味もありました。

ー実際に猫と暮らしてみて、予想外だったことや、特に驚いたことがあれば教えてください!

めちゃくちゃ人懐っこかったことです!茶トラ猫の「春まき」と黒猫の「くろごま」、2匹はきょうだいなのですが、特に春まきがすごく甘えん坊さんで、膝の上に乗ってくるのが期間中に定番化したのはたまらなく可愛かったです。

ーいつ頃から、猫たちが少しずつ心を許してくれているのかもしれない、と感じるようになりましたか?

春まきは2日目から膝の上に乗ってきてくれて、わりとすぐ心を許してくれてるのかなと思いました。くろごまはなかなかじっくり撫でさせてもらえるチャンスは少なかったですが、寝ようとしたタイミングにベッドにいたり朝起きたら足元に寝てたりと、しれっと側にいてくれてるのが、ジワジワ心を許してくれてるのかなと感じてました。

ー実際に猫と暮らしてみて、暮らす前と比べてご自身の気持ちに何か変化はありましたか?

面倒なこともありますが、手間がかかるという幸せもあるなぁと感じました。あとは、家で自分のことを待ってる存在がいるのは不思議かつ嬉しい体験でしたね。何より、昔から猫は当たり前に可愛いとは思ってましたが、実際に一緒に暮らしてみると「こんなに可愛いんだ!」と実感しました。猫が甘えてくれる可愛さは何にも代え難いですね。作中に「友達と保護猫カフェに行った」という話が出てきますが、実は冒頭に述べた猫の作品のための取材でした。そこで一目惚れした猫ちゃんがいるので、今回の猫と暮らすトライアル期間を経て、近いうちに自分も保護猫をお迎えしたいなと思いました。

(海川 まこと/漫画収集家)